女優の真木よう子が主演する連続テレビドラマ『セシルのもくろみ』(フジテレビ系)の第8話が31日に放送され、平均視聴率は自己最高で前回からは0.9ポイント増の5.3%(関東地区平均、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。放送前には本作が9話で終わるとの情報が流れ、8話の最後に流れた次回予告でも次回が最終回と明記された。低視聴率による事実上の打ち切りである。打ち切りが決まってから自己最高視聴率を記録したのは皮肉だが、主演の真木よう子が冬コミ参加表明を巡る炎上やTwitter削除など悪い意味で注目を集めたことが視聴率を押し上げたとみられる。
唯川恵の同名小説を原作としたこのドラマは、ファッション雑誌業界を舞台にさまざまな女性たちがぶつかりあいながら幸せを探していく物語。真木は、たまたまスカウトされて読者モデルとなり、成功の階段を駆け上がっていく主婦・宮地奈央を演じる。
最終回直前の回となってしまった第8話だが、最終回に向けて意味があったと思われるやり取りは、ファッション誌「ヴァニティ」を卒業したハマユカこと浜口由華子(吉瀬美智子)が奈央を新雑誌のカバーモデルとしてスカウトに来たラスト1分にも満たないシーンのみ。それ以外は、必要性のわからない展開を延々と見せられただけに終わった。
なかでも、制作陣が今回の目玉にしていたと思われる中華料理店での女同士のバトルは何から何までひどかった。「ヴァニティ」の新たなカバーモデルになった安永舞子(長谷川京子)は、食事が始まるやいなや同席者に対していやみな発言を連発し、自分が一番何でもわかっている感を押し出してくる。こんなギスギスした空気の中では何を食べてもおいしくないだろうと思えてきて、見ているこちらもどんどん不快な気分になった。
言葉の応酬が繰り広げられる女の戦いの場を、あえて食事のシーンと結びつける必要があったのだろうかと疑問でならない。5人の女性が座る円卓を俯瞰で映したり、円卓の周りをぐるぐる回るカメラワークを使ったりしていたことから、映像的に円卓に座らせたかっただけなんだろうな、としか思えない。
また、南城編集長(リリー・フランキー)が自身の送別会と偽って5人の女性を招き、彼女たちだけで食事をさせたという展開そのものも意味不明だ。「ヴァニティ」を卒業したハマユカ、現カバーモデルの舞子、編集部デスクの洵子(板谷由夏)、ライターの江里(伊藤歩)、専属モデルの奈央という顔ぶれは完全に視聴者視点の人選でしかなく、南城が選んだにしては必然性がない。