吉岡里帆が初の主演を務める連続テレビドラマ『きみが心に棲みついた』(TBS系)の第5話が13日に放送され、平均視聴率は前回と変わらず7.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。
小川今日子(吉岡)への攻撃を吉崎幸次郎(桐谷健太)に邪魔された星名漣(向井理)は、「吉崎の化けの皮をはいでやる」と怒りに燃え、真意を隠して吉崎をバーベキューに誘い出す。
何か企んでいるのではないかと心配する今日子に、「心配なら誰かと一緒に参加すればいい」と告げる星名。言われた通りに堀田麻衣子(瀬戸朝香)たちを誘って現地に到着した今日子の前に現れたのは、大学時代に今日子を苦しめた先輩たちだった。
先輩たちの悪口を当初は我慢していた今日子も、トラウマを蒸し返すような発言に追い詰められ、ついには気分が悪くなって倒れてしまう。大学時代の消し去りたい過去がいつか必ず吉崎に知られてしまうと思った今日子は、目に涙をためて「嫌われる前にさよならしちゃダメですか?」と吉崎に別れを告げた。吉崎はそんな今日子を力強く抱きしめ、優しく口づけした――という展開だった。
いろいろとツッコミどころの多い回だったが、まずは「吉岡里帆のおっぱいで視聴率を稼ごうとするのはいいかげんにしろ」と言いたい。今日子が新作下着の発表会のモデルを務めた第3話でも吉岡の下着姿が延々と流れたが、今回も放送開始直後に谷間もあらわな吉岡の下着姿が流れた。
劇中では吉崎の職場の後輩が今日子を「あざとい」と評するが、本当にあざといのはこのドラマの制作陣ではないだろうか。ストーリー上の必然性がないのに女優を脱がす制作陣も制作陣なら、露出の多いグラビアを事実上封印しておきながらドラマではやたらと脱ぐ吉岡も吉岡だ。
あくまでも吉岡の下着姿に視聴率浮上を託すならそれでもいいが、肝心の下着がダサい。「男性が欲情する下着」や「抱きたくなる下着」を開発しているという設定なのに、吉岡が着用したのはなんの変哲もないダボっとした花柄のスリップ。「エロさを追求するなら、せめてどこかにレースぐらい使えよ」と思ってしまう。
星名が何をしたかったのかもよくわからない。大学時代に今日子を苦しめた仲間たちを連れてきて悪口を言わせることが、「吉崎の化けの皮をはぐ」ことにどうつながるのか。吉崎や堀田たちの心証を悪くしただけで、吉崎の化けの皮をはぐどころか自分の化けの皮がはがれかかっている。
そもそも、「吉崎の化けの皮をはぐ」ために選んだシチュエーションがなぜ冬のバーベキューなのか。劇中でも堀田が「こんな寒いのにホントにバーベキューなんかするの?」とぼやいていたが、これは出演者やスタッフの真の心の叫びでもあろう。見ているこちらも、「撮影大変だったろうな……」と、ずっと気になってしまった。
結局、今日子たちがバーベキュー場に集まったという設定は、最後まで特に生かされることもなく第5話は終了。ネタ的におもしろい場面にも乏しく、無難に終わった印象だ。
同じTBS系・火曜10時枠のドラマで、視聴者に不快感を抱かせる展開が共通しており、本作が大いに意識していると思われる昨年放送『あなたのことはそれほど』は、序盤で炎上しながらも第6話から怒涛の快進撃を見せた。『きみ棲み』も次週で第6話を迎えるが、浮上のきっかけを見いだせるのだろうか。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)