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上出来な『科捜研の男』をブチ壊す“船越英一郎問題”が深刻化…「うるさすぎて不快」「パワハラひどい」

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 錦戸亮が主演を務める連続テレビドラマ『トレース~科捜研の男~』(フジテレビ系)の第2話が15分拡大で14日に放送され、平均視聴率は前回から0.5ポイント下がって11.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。

 このドラマは、陰惨な過去を持つ科捜研法医研究員・真野礼二(錦戸)が、現場に残された痕跡をもとに事件の真相に迫るサスペンス。新人の法医研究員・沢口ノンナを新木優子が、捜査一課のベテラン刑事・虎丸良平を船越英一郎が演じる。

 第2話は、大学病院の外科医・真田和寿(名高達男)が殺された事件を扱った。真田の娘・有里(関めぐみ)は現場から逃走する男の姿を目撃しており、間もなく男は逮捕される。ところが、現場に残っていた犯人の血液と男のDNAは一致しなかった。宮永と名乗るその男も否認を続けたため、警察は彼を釈放せざるを得なかった――という展開だった。

 一方、真野はやはり宮永が怪しいと主張。科学捜査の結果、宮永は過去に骨髄移植を受けており、体内に2つの異なる遺伝子を持っていることがわかる。このため、現場に残っていた血痕と、口内の粘膜からとったDNAのサンプルとが一致しなかったのだ。結局、宮永は有里を殺害しようとしたところで逮捕された。

 内容について触れる前に、船越演じる刑事・虎丸があらゆる意味でおかしいことを指摘しておきたい。これについては、初回放送後の時点ですでに多くの視聴者から「船越がうるさすぎて不快」「パワハラと暴力がひどい」「今どきあんな刑事が登場するなんて時代錯誤」などの声が噴出していた。

 ただ、初回のラストで虎丸が真野たちの働きを認めたような描写があったので、2話目からは少しおとなしくなるだろうと思っていた。ところが実際には、前回の和解がきれいさっぱりなかったことになっており、虎丸はまたしても大声で怒鳴り散らす高圧的で暴力的なキャラに逆戻り。挙句の果てには、取り調べた参考人につかみかかり、体を壁に叩きつけて恫喝する始末。

 そもそも、虎丸は定年間近で、ようやく本庁の捜査一課に異動してきたという設定なのに、課内でも怒鳴り散らして随分偉そうだ。本来なら下っ端のはずだ。これはキャラ設定としてやりすぎである。今どきそんな刑事はいない(と信じたい)。少なくとも、昨今のドラマにはあまりいない。科学捜査を軽んじる昔気質の刑事という役柄を劇中に配置したかったのはわかるが、何もあそこまで暴力的なキャラにする必要はない。そのせいですべてが嘘くさくなってしまう。

 第2話の内容に戻ろう。結末は「事件には悲しい過去が絡んでいた」という、警察ドラマにありがちなものだったが、決して悪くはなかった。それだけに、「もったいない」との思いを強くした。具体的に言うと、真野が有里に事件にかかわる悲しい真実を告げる場面が冗長で間延びしてしまったことと、劇伴(音楽)のチグハグさが残念だった。

 毎度毎度比較するのも本意ではないが、『アンナチュラル』(TBS系)だったらもっとラストを盛り上げられたと思う。つまり、真野から真実を聞いた有里が「私、生きていていいんでしょうか……」とつぶやいたところで米津玄師の『Lemon』が流れ、真野が励ますところでスパッと終わっていたら、切ない余韻を残すいいドラマになったことだろう。どう考えても、その後から沢口が「これでよかったんでしょうか」と言い出したり、夜道を帰宅する真野が死んだ兄の幻影を見たりした場面は蛇足であった。

 このドラマが目指していると思われる「勧善懲悪だけでスッキリ終わらない警察ドラマ」という路線自体は、たとえほかのドラマのマネと言われようが、いいと思う。だが、今のままではもったいない。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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