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『いだてん』、第7話でも物語進展しないフジ月9『科捜研の男』にすら視聴率敗北の惨状

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 関ジャニ∞・錦戸亮が主演を務める連続テレビドラマ『トレース~科捜研の男~』(フジテレビ系)の第7話が18日に放送され、平均視聴率は前回から0.5ポイント増の9.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。数字の上では第3話に次いで2度目の1桁ではあるが、前日放送の大河ドラマ『いだてん』(NHK)は9.5%だったので、今週は大河に勝利したといえる。

 このドラマは、陰惨な過去を持つ科捜研法医研究員・真野礼二(錦戸)が、現場に残された痕跡をもとに事件の真相に迫るサスペンス。新人の法医研究員・沢口ノンナを新木優子が、捜査一課のベテラン刑事・虎丸良平を船越英一郎が演じる。

 真野の過去については、家族が血まみれで倒れている映像が初回からたびたびフラッシュバックのように挿入されていた。「武蔵野一家殺人事件」と呼ばれるこの事件は、真野の兄が家族3人を殺して自殺したとされる。だが、真野は事件の真相を疑い続けており、真実にたどり着く機会をうかがってきた。

 この件はしばらく進展しなかったものの、第6話で大きく前進。当時の状況を知る教員・早川尚文(萩原聖人)が真野の前に現れ、さらには隠蔽された鑑定結果を記したノートの存在まで明らかになった。警察内部におけるなんらかの圧力によって事件の真相が覆い隠されたことがわかったのだ。いよいよここから、真野が警察内部の黒幕と戦う展開になるか――というところまでが第6話だった。

 ところが、第7話は高まった期待を裏切るかのような肩透かし。真野の過去に関するストーリーをほぼ進展させず、徳重聡演じる都議会議員が起こした事件を描く「一話完結ドラマ」に終始した。プロットも「クリーンなイメージの議員が裏では悪いことをやっていた」という、超ありがちなもので、目新しさはゼロ。

 事件の関係者と沢口が同じパスケースを使っており、カバンの中身をぶちまけた時に入れ替わったという偶然頼みの設定があったり、ICカードを取り戻すために議員自ら強盗や住居侵入に手を染めたりと、無理のある展開も目立った。必死にICカードを取り戻そうとする理由も「カード式ロッカーに隠した覚せい剤を早く回収したい」というもの。視聴者からは「ロッカーをこじ開けたほうが早いだろ」とのツッコミが殺到した。

 ただ、「クリーンなイメージの裏で悪いことをしている議員」を演じる徳重は最高だった。本人も人の良さそうなイメージがあるだけに、平気で嘘をついたり他人をただの駒のように利用したりする悪辣ぶりが際立ち、本当に憎たらしい。もう少し長くこのクズっぷりを見ていたかったほどで、ぜひ各局は連続ドラマのイヤな上司役とかで徳重聡を起用してほしい。

 とはいえ、少しは真野の過去に関する話を進めてほしかったのも事実。かろうじてラストでは真野と早川が喫茶店で会っているシーンが流れたが、何を話し合っているかはまったく不明。さすがに出し惜しみしすぎである。

 まあ、「続きが気になって仕方がない」と思えるのは、まんまと制作側の術中にはまっていることの証拠でもある。軸となるストーリーをなかなか進展させないのも、視聴者を引っ張る作戦としては正しい。だが、やりすぎると終盤にしわ寄せがくる。なんとかうまい具合にペース配分されていることを望む。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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