米イェール大助教授で経済学者の成田悠輔氏が、夢のある職業としてみられているYouTuberなどの動画配信者について「アメリカ企業に激辛の歩合制で働かせられてるだけ」「儲かってるのは結局Google」などと持論を展開したことが物議を醸している。
成田氏は24日、自身のTwitterで「YouTuberやTikTokerが夢のある仕事・産業みたいに語られてるのはナゾ。まともに収益出てるYouTubeチャンネルはほとんどなく、奇跡が起きた超少数が年収数億円の小金持ち個人になるくらい」とツイートした。
最近は「YouTuber=大金持ちになれる」というイメージが世間に浸透し、若者を中心に動画配信者を志す人が増加。ベネッセが昨年末に発表した「小学生がなりたい職業」でもYouTuberが総合1位に輝くなどしているが、そうした風潮に疑問を呈した。
さらに、成田氏は「マジで儲けてるのは結局Google(※YouTubeの運営会社)だけ。日本人がアメリカ企業に激辛の歩合制で働かせられてるだけじゃないかな」とも記し、潤っているのは“胴元”であるプラットフォーマーだけだと断じた。
実際、本当にYouTubeで人生が変わるほどの大金を手にしているのは一握りの人気YouTuberだけだ。しかも、近年はコロナ禍の影響で動画の広告単価が下がったといわれ、配信者の増加や競合サービスの登場でYouTubeの再生数自体が減少傾向にあるとされる。
YouTubeでの成功は年々難易度が高まっているのに、世間で「夢のある仕事」としてもてはやされていることに違和感を覚えるという成田氏の指摘はもっともなのかもしれない。ネット上でも「これは本質情報」「自分のチャンネルも収益化できてるけどまったく儲かってない」「プラットフォーマーしか儲からないのは間違いない」などと同調する声が相次いだ。
「華やかな仕事は全部同じ」との指摘も
だが一方、ネット上では「成功者がごく一部ってのはYouTuberに限らず、起業家、スポーツ選手、芸能人とか華やかな仕事は全部同じでは」「別に『夢がある』ってお金の問題だけじゃないと思うけど」「わずかでも年収数億の『小金持ち』になれる可能性あるなら夢あるんじゃ」「お金より承認欲求って人も多い」といった異論も寄せられた。
また、現在のYouTubeやTikTokは単独で利益を求めるものではなく「影響力を持つ場として利用して、商品販売などの実業につなげるのがいまの主流」との意見もある。
動画配信者という仕事が「夢がある」かどうかについてはさまざまな見方があるが、国内に覇権を握るような動画サービスがなく、アメリカ発のYouTubeや中国発のTikTokに人々が翻弄されている状況は、日本の現状を表しているといえるかもしれない。