ビジネスジャーナル > 企業ニュース > エネルギーを、AIで最適化する。──東大発スタートアップBolteo

エネルギーを、AIで最適化する。──東大発スタートアップBolteo

2026.02.06 2026.02.06 11:04 企業

エネルギーを、AIで最適化する。──東大発スタートアップBolteoの画像1

再生可能エネルギーの普及が進む一方で、実際にその電気を運用する事業者においては、発電量の予測が大きく外れた時のインバランスリスクが、事業運営に直接影響するようになってきました。また、一般の家庭では太陽光発電を蓄電池とセットで導入するケースが増えてきており、太陽光発電を効率的に使うことが電気料金の抑制につながってきます。発電量やインバランス価格の不確実性、電気料金メニューの多様化等を踏まえた設備の最適運用──エネルギーを取り巻く課題は、年々複雑さを増しています。

こうしたエネルギー領域に、AIとデータサイエンスの力で向き合っているのが、株式会社Bolteoです。

今回は、東京大学でAI研究に取り組み、Bolteoを創業した代表取締役・佐川大志氏に、レジル 取締役の村田祐介および事業開発グループの安藤圭祐がインタビュー。再エネ時代におけるBolteoのビジョンを紐解きます。

AI研究の延長線上にあった、「エネルギー最適化」という必然

エネルギーを、AIで最適化する。──東大発スタートアップBolteoの画像2
村田:佐川さんは東京大学で研究員としてAI分野の研究をしているそうですね。そこからエネルギー・データサイエンスという領域でBolteoを創業した経緯を教えてください。

佐川:私は大学卒業後、ITコンサルティング企業で働きながら、独学でAIを学んでいました。

業務では必ずしもAIを活用していたわけではないのですが、独学ながらAIに関するコンテストなどで結果を出せるようになったことで、自分のAIスキルを事業に活用できるのではないかという手応えを感じていました。そこで、一度大学に戻り、博士課程でAI分野の研究を行うことにしたのです。

博士課程では、エネルギー・物流・小売などあらゆる業界にAIを適用していくという研究を行っていたのですが、エネルギーの分野は特にAIが機能してくれる領域だと感じたことが、Bolteo創業のきっかけになっています。

もともと、各家庭や施設が主体となってエネルギーを最適に使い、余剰分を融通し合うピアツーピア電力取引の考え方を軸に研究をしており、現在提供しているプロダクトは、そのときに培った予測や最適化の技術を、実装可能な形に落とし込んだものです。

村田:エネルギー領域で、AIと親和性が高い部分はどのようなところでしょうか?

佐川:発電量や市場価格予測は、AIの活用効果が出やすい領域だと感じています。

エネルギーに関わる予測は難易度が高く、外れてしまうことも多いのですが、予測が外れた際にAIを活用してマネジメントすることでカバーするなどの仕組みがつくりやすい分野です。AIを活用することで、トータルでシステムが働く仕組みが設計できるのではないかと感じました。また、再生可能エネルギーが普及していくことで、予測の重要性が高まっていくだろうと考えたことも、エネルギーとAIを掛け合わせて事業をはじめてみようと考えた一因です。

村田:Bolteoの事業は、現在のように発電量予測からはじめたのでしょうか?

佐川:最初は発電量予測ではなく、電気の市場価格予測からスタートしました。しかし、当時はあまり反応がありませんでしたね。その後、再エネを取り巻く制度環境が変わりつつある中で、発電量予測の重要性を感じるようになり、軸足を移していきました。所属していた研究室が蓄電池に造詣が深いこともあり、市場価格に応じて充放電することで最適化を図る目的でリリースしたプロダクトでしたが、当時はほとんど需要がなかったのです。

安藤:当時は需要家向けは、市場価格連動のメニューが普及していなかったことが影響しているのでしょう。また発電事業者向けは、再エネはFIT制度により固定単価での買取が普及していたため、発電事業者が自ら、価格を予測する必要がなかったのです。

現在は、FIP制度への移行が進んでいるため、市場価格の予測と蓄電池の活用などによる充放電の最適化は、発電事業者にとって非常に重要なものになっています。

佐川:そうですね。課題の着目とプロダクトのリリースが“早すぎた”部分があると感じています。

現在は、市場連動型の小売価格が当たり前になってきていますし、多くの企業の方から興味を示していただくことも増えています。

FIP移行で、予測は“当てるもの”から“使うもの”へ

エネルギーを、AIで最適化する。──東大発スタートアップBolteoの画像3
村田:現在、Bolteoが提供しているプロダクトはどのようなものがあるのでしょうか?

佐川:おもに、次の3つを軸にしています。

・AIによる予測サービス
・エネルギーマネジメント最適化
・設備モニタリング・異常検知

まず、AIによる予測サービスは、最適化を図る上でも土台となる部分です。発電量予測や市場価格予測、需要予測などを提供しています。

たとえば発電量予測は、エリアや緯度経度、発電方法、太陽光パネルのキャパシティなど、発電所の情報を登録すると、その地点の詳細な気象データを取得することができます。その後、発電実績をアップロードすると、発電量とその際の気象条件などをAIが学習して、発電量を予測してくれるという仕組みです。

村田:発電所の地点を登録すると、発電実績がなくても独自のアルゴリズムで発電量を予測できるそうですね。

佐川:新しく発電事業をはじめる事業者は、発電所を持っていないので、発電実績がありません。そういった事業者に対しての初期フェーズを支援するプロダクトの一機能です。ただ、基本的には発電実績をAIに学習させることで精度は上がっていくので、実績ができてきた段階で随時アップロードしていくことをおすすめしています。

安藤:気象データだけではわからない、発電所特有の発電の“クセ”がある場合があるので、それを随時反映していくことでより実態に近い予測ができるようになりますね。

村田:発電量や市場価格の予測は、他社も行っていますよね。予測サービスにおけるBolteoの差別化ポイントはどこにあるのでしょうか?

佐川:Bolteoの予測システムは、複数予測結果を確率と合わせて可視化できる点です。こうすることで、事業者は発電量のブレを考慮して計画策定が可能です。

安藤:各コマにおける発電量の予測結果のみが一般的ですよね。発電量予測は、「当てることももちろん大事ではありますが、いかに大外れを避けるか」ということも重要です。

村田:発電事業者は、そのブレ幅を取引や最適化を行う際の意思決定の材料にすることができるのですね。現状、Bolteoの予測サービスを利用したエネルギーマネジメント最適化のプロダクトは、どの程度活用されているのでしょうか?

佐川:現状、プロダクトとしてリリースしていますが、最適化するにあたってあらゆる機器とのつなぎ込みが必要になるので、汎用性はそこまで高いものにはなっていません。最終的には、なんのために予測を活用するのか、どういう方向性で最適化していくのかを設計する段階から入って、プロダクトを提供していくことを目指しています。

村田:設備モニタリングや異常検知についても、機能などを教えてください。

佐川:これは、AIで異常検知を行い、トラブルを未然に防止する機能です。エネルギー関連設備の状態を常時監視することで、設備の長寿命化と運用コスト削減に寄与します。

安藤:今後、卒FIT等を迎えた太陽光発電所の活用に向けた効率的なO&Mが話題に上がる時期だと考えています。設備モニタリングや異常検知機能には注目が集まるのではないでしょうか。

佐川:設備モニタリング・異常検知については、企業とともに協業も行っています。

関西エアポート様とは、脱炭素・省エネの実現を目指し、関西国際空港・伊丹空港・神戸空港の3空港における「エネルギーマネジメントダッシュボード」の構築に取り組んでいます。施設内に設置された膨大な数のセンサーからデータを取得・集約し、異常検知アルゴリズムを適用することで、膨大な監視対象の中から「エネルギー消費の異常」を自動で検出する仕組みを構築し、大規模インフラにおけるデータドリブンな環境経営を支援しています。

安藤:異常検知は、いわゆるベテランの現場の方々の長年の知見に支えられている部分がありますよね。今後、主力となる現場の方々が引退していく中において、必要な機能だと思っています。

佐川:そうですね。実際、様々な企業との取り組みの中でも、そうした知見をシステムに残すために、それらをデータとして取り込むためのシステム開発なども行っています。

村田:現在、AIを取り入れている分野は数多くありますが、エネルギーという領域に深くAIを取り込んでいるのはまさにBolteoの独自性といえますね。

安藤:エネルギー領域における業務オペレーションを熟知した上で本当に必要となるプロダクト開発を行っていただけるという点が他社との大きな違いです。

供給側だけに頼らない、エネルギー最適化の次の形

エネルギーを、AIで最適化する。──東大発スタートアップBolteoの画像4
村田:今後、Bolteoが企業として目指していることや事業の展望について教えてください。

佐川:現在、プロダクトの主力はAIによる予測サービスですが、エネルギーマネジメント最適化の部分も、より多くの企業の方々に活用いただけるように構築していければと思っています。

今考えているのは、蓄電池を活用した最適化プロダクトですね。まずはPoCという形ではじめるのがよいと考えています。規模としては系統用蓄電池などの規模が大きいものからスタートし、家庭用や事業所用まであらゆる規模感を想定しています。

また、生成AIの活用もプロダクトに取り入れていくことを考えています。エネルギー分野においては、数値データをもとに予測などを行う従来型AIが中心で、生成AIの活用余地がまだまだ大きいと感じています。

たとえば、ダッシュボードに羅列された数字から状況を解析したり、マニュアルを読み込ませることで異常検知時の対応を担当者にレクチャーしたりなどもできるようにしていきたいですね。

村田:エネルギーという分野全体に対して、改善していくべきだと考えているポイントや、Bolteoのアプローチはありますか?

佐川:エネルギー分野全体としては、これまで供給側だけが調整を担ってきた仕組みから、需要家側も自然に協力できる形へ移行していく必要があると考えています。

電気価格が高騰しても、需要家が意識せず使い続けて環境性を損なってしまう現状は、エネルギー分野における課題のひとつです。

とはいえ、需要家側が常に価格や需給について考えるのは現実的ではありません。需要家側が快適さを損なわず、最適な電力の使い方ができる仕組みが必要になります。

Bolteoは、太陽光や蓄電池、AIなどを賢く活用し、需要家の金銭的メリットと環境負荷の低減を両立できるアプローチを目指しています。

エネルギーを、AIで最適化する。──東大発スタートアップBolteoの画像5
エネルギーを取り巻く制度や技術が大きく変わる中で、求められているのは「当てる」予測ではなく、「予測のブレを前提に意思決定に活かす」仕組みです。

Bolteoは、研究で培ったAI技術を現実のエネルギー分野に実装しながら、事業者と需要家、双方にとって無理のない、持続可能なエネルギー最適化のあり方を模索し続けています。

※本稿はPR記事です。

BusinessJournal編集部

Business Journal

ポジティブ視点の考察で企業活動を応援 企業とともに歩む「共創型メディア」

X: @biz_journal

Facebook: @bizjournal.anglecreate

ニュースサイト「Business Journal」