「試せる」から「相談できる」へ…AI服試着・AI肌診断が拓く購買体験の進化

●この記事のポイント
・パーフェクト社は、画像処理技術を応用してAI服試着やAI肌診断などのSaaSを提供しており、世界700社以上で年間100億回を超えるバーチャル試着体験を支えるビューティー・ファッション分野のリーダー。
・「失敗したくない」という心理が強い日本の消費者に対し、ECを「デジタル上の顔」として体験価値を高めることで、実店舗と連携した自然な購買導線や、高い精度でのパーソナライズされた提案を実現している。
・現在はブランド自身がデータを構築できるエコシステムを展開しており、今後は生成AIを活用した会話型アシスタントにより、検索中心から「対話」を通じて試着・購入まで完結する体験への進化を目指している。
AI技術の進歩に伴い、服やメイクのバーチャル試着や肌診断といったビューティーテックは、いまや実用段階を超え、購買体験の中核を担いつつある。
顔写真や全身写真にリアルなコスメや洋服を重ねて試せるほか、将来の肌状態をシミュレーションすることも可能になった。こうした「試せるデジタル体験」は、「似合うかどうかわからない」「失敗したくない」という購買前の不安を和らげ、コンバージョン率(CVR)や顧客生涯価値(LTV)の向上を狙う企業から注目を集めている。
その分野で国内外の市場をリードしてきたのが、AI・ARを活用したビューティー・ファッション向けソリューションを展開するパーフェクト株式会社だ。同社は世界700社以上に技術を提供し、年間100億回を超えるバーチャル試着体験を支えている。今回は同社代表の礒崎順信氏に、日本の消費者が求めるデジタル体験の特徴や、AI・ARソリューションの最前線、そしてそれが購買行動をどう変えていくのかを聞いた。
●目次
- 自撮りブームから始まった「試せるデジタル体験」
- 日本の消費者にとって「デジタル」はどこにあるのか
- 「試す」ことが当たり前になったAI服試着・AI肌診断
- 肌データと試着データはマーケティングの武器になる
- ブランド主導で構築する「公式ARアセット」
- 会話型AIが拓く、次の購買体験
自撮りブームから始まった「試せるデジタル体験」
――AI服試着やAI肌診断といった「試せるデジタル体験」サービスを提供するようになった経緯をお聞かせください。
2014年頃、自撮りがブームになり、美容フィルター付きのアプリが数多く登場しました。ただ、当時の技術では肌の質感が不自然だったり、輪郭が歪んだりするものも少なくありませんでした。
パーフェクトの前身であるサイバーリンクは、PC向けソフトウェアで長年培ってきた画像・映像処理技術を持っていました。この技術を応用すれば、よりリアルな表現ができるのではないかと考え、セルフィーや写真加工に特化したアプリ「YouCam Perfect」をリリースしました。結果としてこのアプリは大きな支持を集め、世界的なヒットとなりました。
この成功をきっかけに、「裏側の技術そのものを企業向けに提供できるのではないか」と発想を転換しました。現在では、AI服試着、AI肌診断、バーチャルメイクといった形でSaaSとして提供し、世界700社以上に導入されています。年間のバーチャル試着利用回数は100億回を超え、日常的に使われるインフラに近い存在になりつつあります。

日本の消費者にとって「デジタル」はどこにあるのか
――日本はEC比率が先進国のなかでも低く、多くの購入が依然として実店舗で行われているといわれています。そうしたなかで、日本の消費者にとって「デジタル」は購買行動のどの段階を担っていると見ていますか。
日本の消費者は、「失敗したくない」という心理がとても強いと感じています。実店舗であれば、色味や質感を自分の目で確かめ、納得して購入できる。さらに日本は、駅周辺に店舗が集積しており、仕事帰りや学校帰りに立ち寄りやすい環境が整っています。
こうした国民性と立地条件が重なり、EC比率の伸びが抑えられている側面はあります。ただし、だからといってデジタルを使っていないわけではありません。
実際には、購入前の検索や比較検討の段階では、非常に積極的にデジタルが活用されています。私たちはECを「デジタル上の顔」と捉え、そこでの体験価値を高めることが、最終的な実店舗での購買にもつながっていくと考えています。
「試す」ことが当たり前になったAI服試着・AI肌診断

――体験の質を高めるうえで、AI服試着などの「試せるデジタル体験」は、どの程度ユーザーに受け入れられているのでしょうか。
「変で参考にならない」という印象はほとんどなく、非常に自然に受け入れられていると感じています。当社のAI服試着では、ユーザーがアップロードした写真に対し、一度の生成で洋服を自然に着せることができます。フリルやボタン、ロゴといった細かなディテールも損なわれませんし、顔が途中で別人のようになってしまうこともありません。
いまでは、「自分に似合うかどうかを見極めるために、当たり前に使うツール」と言える水準に達していると思います。




肌データと試着データはマーケティングの武器になる
――「試せるデジタル体験」は、企業やブランドではどのように活用されているのでしょうか。
AI肌診断については、美容医療クリニックでのニーズが高まっています。会計前やカウンセリングの流れのなかで、iPadひとつで手軽に診断できるため、何百万円もする専用機器を導入する必要がありません。場所や予約枠に縛られず、空き時間に提案できる点が評価されています。
また、肌データやユーザーの行動データが蓄積されるため、マーケティングツールとしても活用が進んでいます。たとえば、「シミやくすみが気になっているが、美容医療にはまだ踏み切れていない層」といったセグメントを把握し、パーソナライズした情報提供やキャンペーン設計に生かすといった使い方です。
実際、コーセーの肌チェックツール「KOSÉ HADA mite」では、当社のAI肌診断を導入したことで、旧サービス比で利用者が403.6%増加しました。肌診断そのものが、新規顧客との重要な接点になり得ることを示す結果だといえます。
ブランド主導で構築する「公式ARアセット」
――サービスはどのような形態で提供されているのですか。
2016〜17年頃から、流通各社と連携しながら「エコシステム」を構築する取り組みを本格化させました。それ以前は、当社がすべてのコスメを受け取り、エンジニアが色味を再現し、ブランドと何度も確認を重ねるという非常に手間のかかる運用を行っていました。
現在は、社内で使用していたコンソールをWebサービス化し、ブランド自身がログインしてSKU(商品ごとの色・仕様単位)ごとの質感や色味を、ブランド基準で作り込める「エンタープライズ版」として提供しています。
こうして作成されたSKUデータは、「公式ARアセット」として百貨店やECサイトなどのリテール側にも連携され、同じ品質のバーチャル体験を複数のチャネルで提供できるようになっています。
――大規模事業者向けの印象が強い一方、導入ハードルを感じる企業もありそうです。
「メイク」や「アイウェア」といったカテゴリでは、より手軽に導入できるサブスクリプション版も用意しています。たとえば、バーチャルで眼鏡を試着できるサービスでは、テレビ通販のアイウェアブランド「アイブレラ」に導入いただきました。60〜80代のシニア層でも、テレビを見ながら手元のスマートフォンで試着できる点が好評でした。
会話型AIが拓く、次の購買体験

――今後、AI・ARソリューションはどのように進化していくと考えていますか。
現在は、LLM(大規模言語モデル)を活用した美容AIアシスタントを、YouCamアプリ内で「AIアシスタント」として実装しています。今後は、Webサイトの階層をクリックしながら商品を探すのではなく、会話を通じて購買する体験が主流になっていくと考えています。
「どんな商品が自分に合いますか?」といった問いに対し、AIが肌診断の結果なども踏まえて提案を行う。ユーザーはその流れのまま商品をバーチャルで試し、納得すればシームレスに購入まで完了する。こうした体験は、スキンケアやファッションにとどまらず、さまざまな分野へと広がっていくでしょう。
「試せる」から「相談できる」へ。購買体験は、検索中心の時代から対話中心の時代へと、静かに主役を交代しつつあります。
(文=福永太郎)
※本稿はPR記事です。





