8月まで猛打を誇った打線が、突如として打てなくなったのだ。9月のチーム打率は2割2分7厘。投手陣が防御率2.47と踏ん張っているだけに、打線の低調ぶりが余計に目立っている。
主力選手を見ると、梶谷隆幸2割2分、石川雄洋1割1分1厘、ブランコ2割2分、バルディリス1割6分2厘。読売ジャイアンツ戦で決勝ホームランを放つなど、打っている印象のあるグリエルも2割5分9厘と波に乗り切れていない。数字を残しているのは、3割2分5厘の筒香嘉智くらいだ。しかし、その筒香もホームランは打っていない。
DeNAに精通するスポーツライターは、次のように分析する。
「頸椎などを痛めて戦列を離脱していた筒香が6日に復帰して、ようやくベストメンバーが揃ったと思ったところで、極度の得点力不足に陥りました。クリーンアップのグリエル、筒香、ブランコは不動でしょうが、それ以外は打順を大幅に入れ替えたいところです。しかし、バルディリスもある意味、不動なのです」
足かせとなるバルディリスとの契約
DeNAは、ケガ以外では二軍に落とせないという契約をバルディリスと結んでいるため、いくら不振でも一軍に帯同させているのだという。
「正直、この契約は痛手です。バルディリスは8月こそ3割2厘と結果を残しましたが、6~7月は2割3分前後ですし、期待したような活躍ができていません。本来なら、不振のバルディリスを二軍落ちさせ、代わりに中継ぎ投手として防御率1.35と安定感のあるソトや、多村仁志、荒波翔、井手正太郎といった打者を一軍に上げたいところです。
バルディリスは足が速くないので、1番や2番には使えません。今のメンバー構成だと、必然的に6番か7番しかないのです。クリーンアップは動かす必要がなく、8番も捕手の黒羽根利規で固定ですから、打順を動かしたくても、なかなかいじれません。
例えば、俊足の荒波がいればセンターを守らせて、石川をセカンドに移し、グリエルをサードに据えることができます。打順も荒波を1番にして、梶谷を6番もしくは3番に持ってくることもできる。今は、クリーンアップ以下が機動力を使えないので、場合によっては3本ヒットが続いても点が入らないこともあります。梶谷を6番や3番にすれば、打線の流れも随分と変わるはずです。しかし、不振でもバルディリスを一軍に置いておかなければならないので、かなり打順の選択肢が限られているのです。それが、9月のチーム成績に直結しているといえます」(同)
高田繁ゼネラルマネージャーも、まさか助っ人の「二軍落ちできない契約」が終盤になって響いてくるとは想定外だったに違いない。
(文=編集部)