同じく製品カテゴリー別の市場規模では、男性化粧品すべてのカテゴリーが前年度実績を上回る結果となりました。テレビCM等の効果もあり、スキンケア商品や地肌、スカルプケアを訴求した商品が堅調に推移しました。市場は群雄割拠の様相で、大手メーカーから中小メーカーまで機能性を訴求した商品を投入しており、今後ますます男性用化粧品市場は活性化し拡大すると予想されています。
そんな傾向に対し、すがわら皮膚科クリニック副院長で美容皮膚科医の菅原由香子氏は、「男性用化粧品の使用は中止するべき」と主張しています。
そこで菅原氏に、
・界面活性剤の危険性
・肌や頭皮をきれいに保つ方法
などについて話を聞きました。
界面活性剤の危険性
–男性化粧品の危険性について教えてください。
菅原由香子(以下、菅原) 多くの化粧品には、界面活性剤が含まれています。最近では、界面活性剤の包含量が少ない化粧品なら大丈夫との声もありますが、まったく推奨することはできません。界面活性剤は、油分と水分を結合させるのに必要な成分で、汚れを落とす働きがあります。
べっとりと油のついたお皿も、界面活性剤の入った台所用洗剤で洗うときれいにすることができます。同様に髪の毛や頭皮も、シャンプーで洗うと汚れや皮脂を落とせます。しかし、台所用洗剤を毎日使用していると、手荒れがひどくなることがあります。シャンプーも同じように頭皮や髪の毛を傷めるのです。
最近は、化粧品市場が伸び悩んでおり、化粧品メーカーが新たな市場を開拓するために男性用化粧品を懸命に売り出していますが、ほとんどの商品は使う必要のないものです。
—シャンプーだけでなく、洗顔フォームやボディソープにも界面活性剤が含まれているのですか?
菅原 実は洗顔フォームやボディソープも、シャンプーと主原料は変わりません。メーカーは安価に大量の商品を作らなくてはいけないので、主原料は変えずに複数の製品を生み出しています。特に界面活性剤は、洗浄力の高さや泡立ちが優れ、かつ安価であることから化粧品類全般に広く使われています。しかし、界面活性剤は肌に必要な成分まで根こそぎ奪ってしまうため、肌のバリア機能が失われ、乾燥肌やニキビ、皮脂過多などの問題が生じやすくなります。
最も大切なことは洗顔
菅原 最も大切なことは、正しい洗顔方法を知ることです。なぜならばスキンケアの基本は洗顔だからです。特に、男性は正しい洗顔ができていない人が圧倒的多数です。正しい洗顔を覚えれば、肌の悩みを軽減することができます。
–洗顔料は使用したほうがいいですか?
菅原 肌の状態によって異なります。肌がベトついている人は、皮膚の表面が荒れており、それ以上の悪化を防ぐために皮脂を多く出していると考えられます。多くの男性は、強く顔を洗いすぎています。毛穴が汚れたり、ニキビができたり、皮脂で顔がベトついてくると、ゴシゴシと強くこする傾向があります。皮脂は、肌にとって大切なものなのです。従って、むやみに皮脂を落とすのではなく、分泌量をコントロールすることが大切なのです。力を入れてこすったり頻繁に洗顔すると、かえって皮脂が増えることになります。洗顔の基本は、やさしく肌をさすることです。洗浄力の強い洗顔料ではなく、脱脂力の弱い石けんで洗うことを推奨します。
また、年齢を重ねるとともに肌が劣化するため、トラブルが起きやすくなります。年齢に応じて使う洗顔料を変えていくことも必要です。ご自分の年齢や肌の状態に適したスキンケア方法をマスターしてください。
–ありがとうございました。
(構成=尾藤克之/ジャーナリスト・経営コンサルタント)