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江田証「医者だけが知ってる 医療のホントとウソ」

低体温=悪のウソ 長寿命の人に特徴? 高体温は要注意、長生きはチョコがいい?

文=江田証/江田クリニック院長、医学博士

 人間は、酸素がなくては生きてはいけないが、同時に酸素を利用することで活性酸素もつくり出し、病的な老化を進めたり病気になるという矛盾を抱えた存在なのだ。それを証明するように、ラットの寿命は3年だが、100%酸素のもとでラットを飼うとなんと3日で死んでしまう。人間でも人工呼吸器で100%酸素を投与すると、あっという間に肺はボロボロになり死に至る。酸素があるとロウソクは華やかに燃焼するが、その分、ロウソクは早く短くなる。これと同じことが人間の中でも起こっている。つまり「酸素は毒」なのである。過剰な酸素を吸うことは控えたほうがよい。

 では、低体温と活性酸素の関係はどうなっているのか。実は低体温の人のほうが、活性酸素が少ないのだ。

 体を機関車に例えよう。高体温の人は、石炭をボイラーにどんどん入れてガンガン燃やしている機関車のようなもの。エネルギーは出るが、その分、活性酸素という「スス」が出て健康に支障が出やすい。

 一方、低体温の人は、ソロソロとエネルギーをエコに使って進む自転車だ。活性酸素が生じにくく、クリーンである。長生きのためには、ボイラーをガンガンに燃やしオーバーヒートするようなことを防止するのが大事ということ。ボイラーの燃焼を少し抑えてあげることが長寿には有効だと考えられている。

 では、このような体の「クリーン運転」をするにはどうしたらいいのだろうか。

 その方法がいくつか解明されてきているが、ひとつがカロリー制限である。摂取カロリーを通常摂取の70%に抑えると、低体温になり、アカゲザルでは寿命の延長が確認されている。

 ほかには、サプリメントではグルコサミンが有効ということがわかってきた。グルコサミンというと膝関節症に効くというイメージがある。意外にも、最近の権威ある医学誌「Cell」の報告によれば、グルコサミンはミトコンドリアの働きを少し抑えて、ボイラーの過剰回転を抑え長寿に導くことがわかった。ほかにもレスベラトロール(ブドウの皮に含まれるポリフェノール。赤ワインに豊富に含まれる)にも同様の効果がある。

 従って、低体温だからといって必要以上に恐れることはない。むしろ長寿になる素質を持っていると思って、自信を持っていただきたいというのが医学的な結論である。

江田証/江田クリニック院長、医学博士

江田証/江田クリニック院長、医学博士

自治医科大学にて救急部を含む内科全科を研修後、自治医科大学消化器内科に入局。自治医科大学消化器内科助手、宇都宮社会保険病院内科医長、下都賀総合病院消化器科臨床指導医を経て現職。 日本消化器病学会総会等の学会、 シンポジウムにて現在まで25回の講演。これまで米国消化器病学会(AGA;AmericanGastroenterologicalAssociation)にて5回(サンフランシスコ、アトランタ等)、 ヨーロッパ消化器病学会(UEGW;United European Gastroenterology Week)、 アメリカボストンペプチド学会(International Symposium on Regulatory Peptides)にて2回の研究発表。
江田クリニック

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