ビジネスジャーナル > ライフニュース > 中高年の「鼻血」が危険な理由とは?
NEW

中高年の鼻血をナメると危険…糖尿病・白血病・動脈硬化のサインの可能性も

文=真島加代/清談社
【この記事のキーワード】, , , ,
中高年の鼻血をナメると危険…糖尿病・白血病・動脈硬化のサインの可能性もの画像1
「gettyimages」より

 幼い頃は、何かに鼻をぶつけたり強めに鼻をほじったりして血が出た……と、ちょっとしたことで鼻から血が出ていた人もいるはず。そんな子ども時代の記憶から、成人してから鼻血が出ても「大したことじゃない」と考えてしまうかもしれない。しかし、“大人の鼻血”はあまり軽視しないほうがいいという。

中高年の鼻血の怖い特徴とは

 新潟県新潟市の空港前クリニック耳鼻いんこう科で耳鼻科医師として多くの患者に接している川崎克院長は、「鼻血の主な原因は鼻の中の血管が破れること」と話す。

「大人の鼻腔(鼻の内部)は8cmほどの奥行きがあり、複雑な構造をしています。鼻腔の奥、上方には太い動脈があり、穴の入り口付近1cmほどの部位には網の目状に細い静脈が集まる『静脈叢(そう)』があります。平均で80%の人は、穴の入り口付近の血管が破れて鼻血が出ます。残りの20%の人は、鼻の奥にある太い血管からの出血ですね」(川崎氏)

 鼻の粘膜には縦横無尽に血管が通っているため、誰しも鼻血が出る可能性はある、と川崎氏は話す。しかし、同クリニックで行った調査では、鼻血を理由に来院する人々には、ある特徴が見られたという。

「当院では、子どもと中高年層が多いというデータが得られました。子どもは男児の患者が多い傾向があります。また、子どもの鼻血の原因の多くは、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの炎症、鼻を強くかんだときに粘膜に傷がつくなどで、鼻腔の入り口付近で出血するケースが94%を占めています」(同)

 子どもの鼻血は止血しやすいのが特徴だという。一方、中高年の鼻血は“血管の衰え”が影響しているため、子どもの鼻血とは原因が異なることが多い、と川崎氏は話す。

「中高年は、糖尿病や動脈硬化を引き起こす脂質異常などの『基礎疾患』が原因で血管の弾力が弱くなってしまうので、鼻血が出やすくなります。さらに、季節の変わり目は気温・気圧の変化によって血圧が上がり、弱くなった血管に高血圧症が加わって鼻血が出てしまうのです。劣化したゴムホースに勢いよく水を流し込むとホースが破裂するのと同じ状況ですね」(同)

 糖尿病や高血圧など中高年の悩みとかかわりが深い“大人の鼻血”だが、まれに遺伝性の難病であるオスラー病(遺伝性出血性毛細血管拡張症)が原因になっているケースもあるという。

「オスラー病とは、粘膜に異常な形の血管や小さな血管腫がたくさんできてしまい、全身のあちこちから出血してしまう疾患です。年齢を重ねるほどに鼻血を繰り返すのが代表的な症状で、鼻血の出血量が多い場合は粘膜の移植が必要になることもあります」(同)

 注意すべきなのはオスラー病だけではない。鼻血が症状として表れる疾患はほかにもある、と川崎氏。

「鼻の奥にできた悪性腫瘍が鼻出血の原因になっていたり、白血病によって血小板機能に異常があると鼻血が止まらなくなることもあります。鼻血はあくまでひとつの症状で、その陰には命にもかかわる重篤な疾患が潜んでいることがあるんです」(同)

危険な鼻血の見極め方

 もちろん、すべての鼻血が危険なわけではない。川崎氏は、危険な鼻血の特徴は「出血部位」と「時期」、そして「出血頻度」にあると説明する。

糖尿病や高血圧症などの『基礎疾患』がある50歳以上の男性は鼻の奥から出血するので、止血しにくいのが特徴です。その年代の人は、鼻血が出たら出血部位を確認するようにしましょう。また、季節の変わり目(気温や気圧の変化が大きい時期)に大量の鼻血を繰り返す場合も、高血圧症が影響している可能性が高いです」(同)

 止血処置をしたにもかかわらず短時間で繰り返し鼻血が出る人は、腫瘍や白血病など、ほかの病が潜んでいる可能性も。鼻血を理由に病院を訪れ、血液検査などの精密検査を受けて疾患が発覚することもあるという。

 また、実際に鼻血が出たときの対処法によっても「危険な鼻血」を見分けることができるそうだ。

「鼻血が出たときは、まず、ややあごを引いて顔をうつむき気味にします。同時に、指で小鼻の根元をつまんで2~3分ほど圧迫すれば、鼻腔の入り口付近の出血は止まります。しかし、鼻の奥から出血している危険な鼻血は2~3分では完全に止血することができないので、10分ほど安静にしていてください。血がのどに回ってきたら、飲み込まずに吐き出しましょう。10分以上たっても止まらない、もしくは一時的に止まってもすぐに出る場合は、耳鼻咽喉科を受診してください」(同)

 鼻血の量が多く意識がもうろうとしている場合は救急車を呼ぶ必要がある、と川崎氏。鼻血は体から発せられる危険信号。「以前よりも鼻血の頻度が増えた」という人は、一度医師に相談すると病の早期発見につながるかもしれない。
(文=真島加代/清談社)

●「空港前クリニック 耳鼻いんこう科

清談社

清談社

せいだんしゃ/紙媒体、WEBメディアの企画、編集、原稿執筆などを手がける編集プロダクション。特徴はオフィスに猫が4匹いること。
株式会社清談社

中高年の鼻血をナメると危険…糖尿病・白血病・動脈硬化のサインの可能性ものページです。ビジネスジャーナルは、ライフ、, , , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!