5月28日の『サタデープラス』(TBS系)で、タレントの関根勤が心臓の手術を受けて復帰する様子が放送された。
関根は、同番組の企画で4月4日に心臓ドックを受け、さらに精密検査の結果、動脈硬化のひとつである冠動脈狭窄と診断されたという。心筋梗塞を引き起こす一歩手前で、医師から「いつ倒れてもおかしくない状態」と説明された関根は、5月2日に冠動脈を広げるステント手術を行い、3日に退院、すぐに仕事に復帰した。
現在62歳の関根は自覚症状は特になく、飲酒や喫煙などの習慣もなかったというが、同番組では「私は本当に危なかったんですね。ヘラヘラしている場合じゃなかった」と心境を語っている。関根を襲いかけた心筋梗塞とは、いったいどんな病気なのだろうか。新潟大学名誉教授の岡田正彦氏に聞いた。
「現在、日本人の死亡原因の第2位が心臓病となっています。心臓病にもいろいろあり、最新の死因統計によれば、心不全、心筋梗塞、そのほかの虚血性心疾患の順に多くなっています。
心不全は、心臓が弱って停止してしまう状態を指す言葉ですが、人間が死ぬ時には必ずそうなるわけですから、死因として挙げるのはふさわしくありません。大切なのは、心筋梗塞と虚血性心疾患です。後者は、心筋梗塞の前段階と考えればいいでしょう。
心臓の表面には冠動脈と呼ばれる血管があり、心臓自身に血液を送っています。この血管は非常に細く、複雑な枝分かれをしているため、わずかな異変が生じるだけで、(本来は栄養素として利用されるべき)コレステロールが血管壁に留まってしまうようになります。この状態が『動脈硬化症』と呼ばれるものです。
コレステロールが溜まった冠動脈は内面が傷つきやすくなり、いわば心筋梗塞の準備状態となります。ある日、突然、そこに血液の塊(血栓)ができて血管をふさいでしまうことがあります。
これが『急性心筋梗塞』と呼ばれる状態で、発病を促進する因子も、すでに確定しています。『喫煙』『ストレス』などの生活習慣、『血圧』『血糖』『中性脂肪』の各検査値の異常、および『肥満』がある人は要注意です。該当する人は、薬を服用するよりも、まずは生活習慣の改善を図ることが大切です」(岡田氏)
突然の心筋梗塞を避けるためには、生活習慣の見直しが肝要なようだ。では、実際に心筋梗塞が起きてしまった場合は、どんな自覚症状があるのだろうか。