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飛田砂織「100年寿命時代のウェルネスビーイング」

睡眠の質を左右する「メラトニン」、不妊治療への応用の検討始まる

文=飛田砂織/クリニックシュアー銀座院長、医師・医学博士
睡眠の質を左右する「メラトニン」、不妊治療への応用の検討始まるの画像1
「Getty Images」より

 この春、新型コロナ感染症の影響で自粛が続き、今まで経験したことのないような生活となった方も多いのではないでしょうか。家に長くいると、つい夜更かししてしまい、睡眠サイクルが乱れることもあります。以前も「加齢とともに眠りにくくなる原因」ということで、睡眠とメラトニンの関係についてお伝えしましたが、今回は健康に大切なホルモンとしてのメラトニンについて、睡眠との関わり、健康への期待される効果についてお伝えしたいと思います。

 メラトニンは脳内の松果体という部分で、暗闇に反応して合成されます。凱日リズムをつくり出し、良質な睡眠の助けになります。メラトニンは睡眠以外にも、体の中で大切な役割を果たしているかもしれないと考えられていますが、その効果はどのようなものであるのか、完全に解明されるのはこれからになりそうです。

 メラトニンは抗酸化物質として、健康への寄与が検討されています。そのメカニズムは大きく全身に関与するというよりも、体内で発生した局所的な活性酸素種や活性窒素を消去する、抗酸化作用を有する酵素の合成を促す、酸化ストレスに関与する酵素を抑制する、といった具合です。

 また、メラトニンは金属をキレートし、悪性の活性酸素種であるハイドロキシルラジカルの形成を抑えることで、活性酸素による体内への影響を減らしているといわれています。メラトニンは細胞内では不均一に存在し、ミトコンドリア内に多くあるといわれています。呼吸によるエネルギー産生の場であり、抗加齢医学でもその重要性が指摘されているミトコンドリアで酸化ストレスに対抗し、アポトーシスを抑制すると考えられており、「ミトコンドリアをターゲットにした」抗酸化物質なのかもしれません。虚血再灌流モデルを用いた脳梗塞や心筋梗塞の実験研究で、酸化ストレスを減弱させることが示されています。

 また、卵胞内で高濃度に存在するといわれているメラトニンの細胞への保護効果を検討し、日本国内でも不妊症治療への応用も検討されています。

(文=飛田砂織/クリニックシュアー銀座院長、医師・医学博士)

参考文献:

1.   Melatonin: What you need to know. National Center for Complementary and Integrative Health. URL; https://www.nccih.nih.gov/health/melatonin-what-you-need-to-know

2.   Reiter RJ, Mayo JC, Tan DX, Sainz RM, Alatorre-Jimenez M, Qin L. Melatonin as an antioxidant: under promises over delivers. J Pineal Res. 2016;61(3):253-278.

3.   Tong J et al. Melatonin levels in follicular fluid as markers for IVF outcomes and predicting ovarian reserve. Reproduction. 2017; 153:443-451.

飛田砂織/クリニックシュアー銀座院長、医師・医学博士

飛田砂織/クリニックシュアー銀座院長、医師・医学博士

美容皮膚科医・アンチエイジング医師 医学博士
東京女子医科大学附属成人医学センター非常勤講師(美容皮膚科)
群馬大学医学部卒業。東京大学などの救命救急センターで救急医として働いた経験や、激務で肌のトラブルを経験したことから、健康を保つための予防医療、美容皮膚治療の大切さを痛感。
日本初のレーザーなどの美容皮膚治療に特化した大学附属の美容皮膚科、東京女子医科大学附属青山女性医療研究所美容医療科(現在は成人医療センターに移転)助教(のち非常勤講師)を経て、2015年に、自らのクリニック、美容皮膚科・アンチエイジングクリニックである『クリニックシュアー銀座』を開設。

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