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そういえばアップルウォッチって今、どうなっているのか?圧巻の機能と致命的難点

取材・文=A4studio
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Apple HP」より

 2015年4月24日に初代モデルが発売されてから5周年を迎え、現在は“世界で最も売れている腕時計”ともいわれているApple Watchアップルウォッチ)。

 だが発表された当初、近未来的なガジェットの誕生に熱気が高まる一方で、実用性を疑問視する声が上がっていたのも事実である。実際、iPhoneやiMacに代表される他のアップル製品と比較すると、まだまだ普及していないように感じる。近年、アップルは自社製品の販売台数を公表しない方針を取っているため、iPhoneやiMacとの具体的な比較は難しいが、iPhoneやiMacと比べると、Apple Watchのユーザー数が少ないと感じている人は多いはずだ。

 そこで今回はITジャーナリスト・神田敏晶氏に、普及率がイマイチ振るわないように見えてしまうワケや最新のApple Watch事情、そしてスマートウォッチの未来について話を伺った。

アップルウォッチはすでに“欲しい人”のもとにほぼ行き渡っている状態

 まずは神田氏にApple Watchの現状を解説してもらおう。

「Apple Watchは、すでに欲しい人の手にはある程度行き渡っているという状況でしょう。自身のライフログを記録する機能が気に入ってApple Watchを購入した人などは、長く使い続けています。ですから、スマートウォッチに興味がある人のなかでは圧倒的に人気は高いですし、スマートウォッチ業界におけるシェアという面では、大ヒットの売れ筋製品といえるはずです。ただiPhone人気が高い日本国内において、iPhoneの普及率と比べてしまうと、Apple Watchは確かにそこまで普及しているようには見えないのかもしれません。

 さらに、Apple Watchはバッテリーの持ちが悪い、つまりバッテリー消費が早いという難点を抱えているため、スマートウォッチ市場ではApple Watch以外の選択肢も広がりつつあるのです。Apple Watchも改良されてきていますから、第1世代モデルはバッテリーがフル充電でも1日持ちませんでしたが、最新の第5世代モデルはほぼ2日持つようになってきてはいます。ただ、3000円くらいから売っているAndroidの格安スマートウォッチでさえ、フル充電で1週間近く持つようなものがたくさん出てきているので、バッテリーや価格面では苦戦しているのでしょう」(神田氏)

 アップ信者やハイスペックなスマートウォッチを欲しいという層にとっては、Apple Watchの魅力は高く、人気を博しているようだ。しかしその一方で、コスパ重視やバッテリー重視で選ぶ層はAndroidのスマートウォッチに流れている傾向があるため、発売から5年経っても所持率が上がっている印象がないのかもしれない。

アップルウォッチのストロングポイントは飛びぬけたヘルスサポート機能

 それでもスマートウォッチ市場のシェア率ナンバーワンといわれるApple Watchは、発売当初から大きなインパクトを与えたという。

アップルがスマートウォッチに『Apple Watch』と名前をつけて発売したことで、スマートウォッチというガジェットの存在自体が一気に広まりました。また、スマートウォッチ市場はいまだに玉石混交の状態で、Apple Watch以上に高価なスマートウォッチがないことが、圧倒的なブランド価値を生んでいますね」(神田氏)

 そんなApple Watch、日本ではどんな層に受けているのか。

「やはりビジネスパーソンが中心となっている印象を受けますが、日本はiPhoneやiMacが売れているのと同じように、Apple Watchが好意的に受け入れられている国のひとつで、現在はハイテクガジェット好きの人だけではなく一般層にまで人気が広がってきています。なかでも女性に支持されている傾向が強いように感じます。

 またApple Watchはコラボ展開も上手に進めていますね。エルメスやナイキといった世界的にメジャーブランドとコラボしたApple Watchが販売されたり、かつては東京・新宿の伊勢丹でApple Watch専門店が出店されたりもしていました。そういった展開手法でファッショナブルなイメージのブランディング化に成功しているんです」(神田氏)

 Apple Watchは、そういったファッショナブルなイメージもあり他メーカー製品と比べると高価だが、ただ高価なだけでなく、もちろん機能面でも他メーカーのスマートウォッチを凌駕するポイントがあるという。

「例えば、第4世代以降の『セルラー』という電話の通信機能がついたモデルであれば、尋常じゃない倒れ方をしたときなどに転倒を感知して119番に連絡してくれる、『転倒検出機能』が付いています。他メーカーのものにはそこまでの機能はついていないですね。

 こういったヘルスサポート機能の面で、Apple Watchはアメリカでスマーチウォッチの業界標準を作っています。ただ日本では、ヘルス面の個人情報をスマートウォッチメーカーが保有してしまう点で、心電を撮れる『ECG機能』などの認可を取るのがなかなか難しいようですね」(神田氏)

 確かに、欧米などの海外ではApple Watchが人命を救ったという事例が複数報告されており、特に安全や健康に向けての意識が高いユーザーから歓迎されているのだろう。だが、Apple Watchの進化のスピード感は緩やかだという。その理由は?

「Apple Watchそのものの機能の変化はiPhoneやiMacと大差なく、表示面積や明るさが変わってきたり、ボディが薄くなったり、防水機能がついたりといった進化はしています。第4世代では先述の『転倒感知機能』が搭載され、最新の第5世代では、これまで腕を傾けないと時刻が表示されなかったのが常に低電力で表示される仕様になりました。とはいえ、世代が進んでも革新的な進化を遂げているということはありません。

 アップルウォッチは玄人好みな仕様にしていたりもしますが、基本的にはシンプル志向。一般ユーザーが煩わしく思わないような使いやすさを追求しているので、機能面での急激な変化はあまりないんです」(神田氏)

アップルウォッチ、ひいてはスマートウォッチ市場が盛り上がるためには?

 欲する人にはすでにほぼ行き渡っているというApple Watchが、さらに普及率を高めることを目指すならば、スマートウォッチに興味を持っていない新規ユーザーの獲得が必要となる。これはApple Watchに限った話ではなく、スマートウォッチを手掛けるすべてのメーカーにいえることかもしれないが、どういった課題があるのだろうか。

「一番の問題は、スマートウォッチうんぬんの話以前に、腕時計をつける人が減ってきているということでしょう。実際、時刻を確認するだけならばスマホで充分と考え、腕時計事自体をつける人が減ってきていますよね。

 ですから、腕時計としての進化や腕時計としての価値を高めることに、あまり意味はないため、生活のなかでの不便さを解消できる機能をもっと搭載して“特別なガジェット”になっていく必要があるでしょう。例えば、スマートウォッチが家の鍵やスマート家電のデバイスになるなど、日常生活に密着した機能をシンプルな操作できるようになっていけば、新しいユーザーを獲得できる可能性もあると思います」(神田氏)

 ヘルスケア面ではハイレベルな機能を有するApple Watchだが、まだまだ発展途上。今後は現行のSiri以上のAIが搭載されるといった予想もされており、さらなる進化に期待がかかっている。アップルウォッチがiPhoneと肩を並べる日が来るのだろうか、今後も新モデルの動向に注目したい。

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A4studio

エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。
株式会社A4studio

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