人口の減少が止まらない。総務省統計局が発表した2018年10月1日現在の日本の総人口は1億2644万3000人(確定値)で、前年同月に比べ26万3000人減少した。8年連続の減少である。このうち日本人人口は1億2421万8000人で43万人の減少。一方、外国人は222万5000人で16万7000人の増加となっている。日本人が減り、外国人が増えるという構図となっているのだ。
年齢別に見ると、65歳以上の総人口は3557万8000人で42万6000人増えている。その結果、総人口に占める65歳以上の割合は28.1%にまで上昇した。逆に15歳未満の子ども人口は1541万5000人で17万8000人の減少。総人口に占める割合は12.2%に低下した。子ども人口は75歳以上人口の1797万5000人より256万人も少ない。
生産年齢人口(15歳から64歳)は7545万1000人。51万2000人の減少で総人口に占める割合はついに6割を切り、59.7%となった。人口ピラミッドはますますいびつな形になってしまった。
20年後、30年後の日本はどうなってしまうのか。小手先の外国人労働者受け入れ策だけでは根本解決にほど遠いのは自明の理である。
青少年のネット利用率は93.2%、低年齢化が進行中
子ども人口の減少は日本の将来にとって最大の課題だが、その子どもたちは今、どんな環境下で日々を過ごしているのだろうか。
その一端を浮かび上がらせた調査結果がある。3月に発表された内閣府の「平成30年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」だ。
この調査は、「青少年調査(対象=満10歳から満17歳の青少年5000人)」「保護者調査(対象=青少年と同居する保護者5000人)」「低年齢層調査(対象=0歳から満9歳の子どもと同居する保護者3000人)」の3つの調査を取りまとめたもの。調査結果から興味深いデータをピックアップしよう。
・青少年のネット利用率は93.2%。小学生85.6%。中学生95.1%。高校生99.0%。
・機器専用率(子ども専用スマホの利用率)は79.9%。小学生35.9%。中学生78.0%。高校生99. 4%。
・利用内容上位。小学生は「ゲーム81.5%」「動画視聴66.1%」「コミュニケーション36.0%」。中学生は「動画視聴80.9%」「ゲーム74.1%」「コミュニケーション68.2%」。高校生は「コミュニケーション89.7%」「動画視聴87.4%」「音楽視聴80.6%」。
・平均利用時間(平日1日当たり)は、小学生118.2分、中学生163.9分、高校生217.2分。
・勉強・学習・知育で利用する時間は、青少年全体の73.6%が「1時間未満」。平均35.7分。
高校生では、小学生でトップの「ゲーム」が4番目に下がり、友人らとのコミュニケーションツールとしての利用が1位になっている。どの世代でも「動画視聴」は根強い人気だ。
インターネットを利用する機器の上位は、スマートフォン(62.8%)、携帯ゲーム機(30.3%)、タブレット(30.2%)となっている。ノートパソコン、デスクトップパソコンは合わせて23.7%しかない。ある大学の先生が「近頃の学生はパソコンを使えない子が増えている」と嘆いていた。日常生活での利用法がスマホやタブレットでSNSやユーチューブの視聴などがメインのため、パソコンで文章やデータを作成、管理するといった学習での利用が意外と少ないからなのかもしれない。
9歳以下の子どもの56.9%がネットを利用、9歳では77.3%に
低年齢層のネット利用状況を見てみよう。0歳から9歳以下の低年齢層の子どもの利用率は56.9%。0歳児の6.1%から始まり、9歳児では77.3%と8割近くが利用している。利用機器はスマートフォン(33.1%)、タブレット(26.7%)、携帯ゲーム機(15.2%)が上位。さすがに親との共用が大半で、スマートフォンは87.9%が共用だ。学習用タブレット(75.9%)や子ども向け携帯電話(69.8%)などは7割前後が子ども専用となっている。
子どもたちの利用内容は動画視聴がもっとも多く、85.3%。次いでゲームが60.0%、勉強・学習・知育アプリやサービスが30.4%となっている。ゲームは年齢によってばらつきがあり、高年齢になるほど利用率が高まっている(2歳児は18.9%だが、8歳児は78.6%)。
おもしろいのは動画視聴だ。2歳児は93.7%、3歳児は94.7%と非常に高い。だが8歳児になると78.1%まで低下する。8歳児、9歳児で増えているのはコミュニケーションで、それぞれ24.3%、31.8%となっている。2歳児、3歳児がどんな動画を見ているのか気になるところだ。
1日当たり利用時間の平均は88分。2時間以上利用している子どもは2歳児で30.5%。6歳児で20.8%、9歳児では34.1%となっている。驚いたのは、5時間以上というヘビーユーザーが2歳児で2.1%、3歳児で4.2%もいることだ。9歳児は3.3%となっている。
子どもたちが幼少のころからネット社会にどっぷり浸かっている実態が浮かび上がってきた。1日5時間以上もネットを利用している2歳児や3歳児は、脳や視力などにどんな影響を受けるのだろうか。子どもたちのネットの利用が新たな可能性を秘めているのは間違いないが、気がかりでもある。
(文=山田稔/ジャーナリスト)