●キュレーターのセンスに任せる部分が大きい
—バイラルメディアは非常に増えていますが、その中でライバル視しているサービスはありますか?
河上 特定のメディア名は挙げませんが、確かにバイラルメディアは数多く立ち上がっていますので、その中でオリジナリティを出して、差別化を図っていきたいと考えています。
–キュレーター(情報を収集・整理し、他の読者に共有させる役割を担う人)は、どういう人がどのくらいいますか? いわゆるプロのライターではない人もいるように見受けられます。
河上 プロのライターもいますが、プロではない人にキュレーターになってもらうこともあります。最近は素人が書いた記事でも、ネット上で大きな反響を呼ぶことはよくあります。そのような一般受けする記事を書く人、SNSなどでフォロワーの多い人、ブロガーとしてPV数が高い人、人気ランキングで上位の人、各業界で目立っている人という観点で、センスがありそうな人を集めました。今は120名くらいのキュレーターが参加しています。
–編集部側で探して集めたのですか?
河上 今は募集もしていますが、最初は編集部で探して声をかけて集めました。キュレーター自身が投稿し、公開できるようになっています。
–キュレーターが直接投稿するとなると、クオリティを保つことは難しそうに思えるのですが、いかがでしょうか?
河上 センスに重きを置いているため、基本的にあまり細かいルールや制限を設けていません。現在は、編集部でも積極的に情報を収集し、記事を制作して掲載しています。その上でコツやノウハウを蓄積し、説明会などを開きながら落とし込んでいる状態です。
–記事制作なども行うということは、編集部の仕事内容はかなり多岐にわたっているのでしょうか?
河上 現状は、記事制作者兼ディレクター兼PR担当のようになっています。5~6人がほぼ専属で作業をしています。従来のメディアは、媒体社が編集部を持ってしっかり記事をつくり込み、1対多に出していましたが、その後Web2.0といわれた時代に一旦ネット上の記事は素人の手に移りました。しかし、コンテンツクオリティが保たれていませんでした。そのような経緯から、プロ+素人、もしくはプロがセミプロを集めて構成するかたちが最もウケがいいのではないかとの考えに至りました。私が勝手に言っている言葉ですが、「1.5型」というスタイルです。従来型のメディア社会をWeb1.0、誰でも情報発信できる時代をWeb2.0すると、「Amp.」は編集部とキュレーターで、この1.5型になっているのです。
●オリジナリティのあるコンテンツと、それを引き立てる広告商品の開発を目指す
–今後、サイトとしての収益はどうやって上げていく予定ですか?
河上 ネイティブ広告に、積極的に取り組んでいきたいと考えています。アメリカでも今後主流になっていくといわれているものですが、日本ではこれからの分野です。これを増やしつつ、収益化へ持っていきたいと考えています。
–ネイティブ広告が成功するためには、回遊率(サイトの訪問者が、どのくらいそのサイト内のページを見て回ったかを表す指標)なども重要だと思いますが、今のところはいかがですか?
河上 具体的な数字は出せませんが、そこは課題となっていて、今のところは「もっと見てもらえないと困るな」というくらいの数字しか出ていません。インパクトのある見せ方をするために画像主体になる構成にはしてあり、ある程度の回遊はしてもらえているのですが、想定には届いていない状態です。もっとユーザインタフェースやユーザエクスペリエンスを見直したり、分析したりする必要はあるでしょう。いわゆるPDCA(計画・実行・評価・改善を繰り返し、業務管理をする手法)ですね。
–ほかに今後の展開としては、どのような予定がありますか?
河上 幅広いコンテンツで、充実したメディアを目指します。また、現在の「世界中からネタを集めて、面白おかしくためになるかたちでまとめる」というスタイルから、今後はオリジナリティが求められるフェーズに入るだろうと考えていますので、自社でオリジナル性を出したいです。
–それがネイティブ広告ですね。
河上 はい。広告商品のネイティブ化みたいなことは、うまく行える自負があります。コンテンツを引き立てる広告、という商品の開発をしたいです。また、東南アジアですでに動いている事業がありますから、そうしたアドバンテージを生かして日本でのモデルケースがうまくいった場合、各国展開もしたいと考えています。
–ありがとうございました。
(構成=編集部)