デルタ主導のスカイマーク再建を軌道に乗せるためには、足枷になっている出資規制(外資規制:3分の1未満、羽田空港乗り入れ会社への出資規制:20%未満)や、アクセスの容易な羽田の国際線便数を抑えて成田や関空からのシフトを防ごうとする行政指導など、がんじがらめの航空規制の見直しが必要になる。実現すれば、これらは消費者にとってさまざまなメリットもある話である。
利権温存に躍起な国交省
ところが、航空族議員や国交省は利権を温存するのに躍起だ。永田町では、デルタがスカイマーク保有の羽田の発着枠のうち10~15程度を国際線に転用する狙いを持っているとみて、反発を募らせている。
確かに、13年度をみると、デルタの売上高は378億ドルとアメリカン航空(404億ドル)、ルフトハンザ(399億ドル)、ユナイテッド航空(383億ドル)に次ぐ世界4位だが、純利益に目を移すと105億ドルを稼ぎ出すデルタは、アメリカン航空(12億ドルの赤字)、ルフトハンザ(4億ドル)、ユナイテッド航空(6億ドル)を大きく引き離してダントツの1位。純利益が17億ドルのJALや、2億ドルのANAがまともにぶつかれば、ひとたまりもないと映るのかもしれない。
こうしたことが、冒頭で紹介した太田大臣発言の背景にある。ちなみに、太田大臣は発言直後、首相官邸に安倍首相を訪ねて20分の会談を持った。米航空界最強のロビイストと呼ばれるデルタの要求を突っぱねることの是非や、新たな日米航空摩擦のリスクについて説明したのではないかと見られている。
いずれにせよ、政府・与党が反対一色では、デルタが再建スポンサーになっても、スカイマークが力を付けて寡占市場に風穴を開けるような存在に成長することはないだろう。せめて、政治には、下手に経済ナショナリズムを振りかざして日米摩擦を引き起こしたり、スカイマークの再建策づくりを膠着させて2次破綻を招くような事態は避けてほしい。
そのためには、スカイマーク再建に関するイントレピッド=デルタ案を速やかに、かつ冷静に検証し、スカイマークの再建を緒につける必要がある。
(文=町田徹/経済ジャーナリスト)