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また、安全保障上の観点では、ギリシャがユーロから離脱してもEUに残るように手当てしたほうがいいだろう。現在すでにイギリス、ポーランド、スカンジナビア諸国はこの立場なので不可能ではない。ギリシャは、冷戦時代からロシア圏に対抗する西側欧州諸国の戦略上の重要拠点だ。アメリカは経済面以上に安全保障面を気にするだろう。
そのため、ギリシャは冷戦の頃から今に至るまで「ギリシャ正教を通じてロシアとは宗教上の共通点がある」と匂わせながら西欧諸国から支援を引き出してきた。観光業と並ぶ経済基盤として「戦略要衝業」を据えているといえなくもないが、それによる不幸も引き受けており、EUはある程度はギリシャの「甘え」を許容したほうが得策だ。
見えないプロセス
以上見てきたギリシャのユーロ統一通貨からの離脱、債務免除、EUへの残留という方策は、多くの関係者が主張していることだ。実際にECBも民間銀行も、ギリシャのデフォルトを想定しているかのように準備している。
一方で、結論に至るまでのプロセスが見えない。ヨーロッパ独特のやり方で、各国首脳が集まり、時間をかけてパフォーマンス合戦をやっている。結論を急ぐ米国や交渉下手の日本にはまったく理解不能で、理解できないから次がどうなるか皆目予測できない。
以上のように、ギリシャ問題は日本にとって重要性が高くなく、結論が見えているのに手続きの予測が困難な問題だ。当面は、ヨーロッパ宮殿での評定を遠目に見ていれば十分だろう。
(文=小林敬幸/『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』著者)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44307
・http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NRKDFR6TTDS001.html
・http://jp.wsj.com/articles/SB10468926462754674708104581085121389238598
・http://jp.wsj.com/articles/SB12090554170328684804804581079512521453834
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