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小林敬幸「ビジネスのホント」

中国株急落は想定内である 日本への影響はギリシャ危機より大だが、リーマン未満

文=小林敬幸/『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』著者
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 また、安全保障上の観点では、ギリシャユーロから離脱してもEUに残るように手当てしたほうがいいだろう。現在すでにイギリス、ポーランド、スカンジナビア諸国はこの立場なので不可能ではない。ギリシャは、冷戦時代からロシア圏に対抗する西側欧州諸国の戦略上の重要拠点だ。アメリカは経済面以上に安全保障面を気にするだろう。

 そのため、ギリシャは冷戦の頃から今に至るまで「ギリシャ正教を通じてロシアとは宗教上の共通点がある」と匂わせながら西欧諸国から支援を引き出してきた。観光業と並ぶ経済基盤として「戦略要衝業」を据えているといえなくもないが、それによる不幸も引き受けており、EUはある程度はギリシャの「甘え」を許容したほうが得策だ。

見えないプロセス

 以上見てきたギリシャのユーロ統一通貨からの離脱、債務免除、EUへの残留という方策は、多くの関係者が主張していることだ。実際にECBも民間銀行も、ギリシャのデフォルトを想定しているかのように準備している。

 一方で、結論に至るまでのプロセスが見えない。ヨーロッパ独特のやり方で、各国首脳が集まり、時間をかけてパフォーマンス合戦をやっている。結論を急ぐ米国や交渉下手の日本にはまったく理解不能で、理解できないから次がどうなるか皆目予測できない。

 以上のように、ギリシャ問題は日本にとって重要性が高くなく、結論が見えているのに手続きの予測が困難な問題だ。当面は、ヨーロッパ宮殿での評定を遠目に見ていれば十分だろう。
(文=小林敬幸/『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』著者)

[参考] ・2015年7月11日号 英エコノミスト誌
 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44307
・http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NRKDFR6TTDS001.html
・http://jp.wsj.com/articles/SB10468926462754674708104581085121389238598
・http://jp.wsj.com/articles/SB12090554170328684804804581079512521453834

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

1962年生まれ。1986年東京大学法学部卒業後、2016年までの30年間、三井物産株式会社に勤務。「お台場の観覧車」、ライフネット生命保険の起業、リクルート社との資本業務提携などを担当。著書に『ビジネスをつくる仕事』(講談社現代新書)、『自分の頭で判断する技術』(角川書店)など。現在、日系大手メーカーに勤務しIoT領域における新規事業を担当。

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