新型兵器開発に邁進する北朝鮮
10月22日の即位礼正殿の儀に韓国の李洛淵首相が参列し、安倍晋三首相に親書を手渡すなど、日韓の間では関係改善に向けた兆しも出始めている。ただ、「日本政府内では、文政権が続く限り、日韓、さらには日米韓の不協和音が続くという見方がいまだに支配的だ」とは、ある日本政府関係者の談だ。
さらに日本政府内では、トランプ政権へのいらだちも聞こえてくるようになった。共同通信によると、小野寺五典・元防衛相は10月15日、米ワシントンでの講演で、「日本に届くミサイルは許され、米国に届くICBM(大陸間弾道ミサイル)ではないから大丈夫というのであれば、日本としては深刻に受け止めなければいけない」として、北朝鮮による弾道ミサイル発射を黙認するトランプ政権に苦言を呈した。
「北朝鮮は今年に入ってから、ロシア製のイスカンデルという、複雑な軌道で迎撃が難しい短距離ミサイルの実験を繰り返し、さらに10月2日には潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射試験まで行った。特に後者は、北朝鮮本土のミサイル基地が攻撃されても、海面下から報復攻撃を行える能力を示すものであり、北朝鮮に対する先制攻撃を米軍などにためらわせる抑止効果がある。北朝鮮はトランプ大統領との対話姿勢を匂わせつつも、着々と新型兵器の開発を進めて抑止力を高めている印象だ」(防衛省関係者)
当の金正恩委員長は10月16日、白馬に乗って「革命の聖地」である白頭山に上る写真を公開した。マスコミの間では、外交面においてなんらかの重大な決断をするための儀式だったという見方が強い。ある大手マスコミの記者は、「施政方針演説に当たる新年の辞で、対米交渉の姿勢を大きく転換し、再び対決姿勢に戻る可能性がある」と話す。ただ、それに対処する日米韓の足並みの乱れが戻るまでには、まだまだ時間がかかりそうだ。
(文=編集部)