北朝鮮国営の朝鮮中央通信は4日、「最高領導者同志(金氏)は同行した指揮構成員とともに軍馬に乗って白頭大地を力強く走り、白頭広野に熱い鮮血をまいて朝鮮革命史の最初のページを厳粛に刻み込んできたパルチザンの血が染みついた歴史を熱く抱き込んだ」と伝えた。同通信は金氏が白馬に乗っている姿や金氏に続いて李雪主夫人が小川を渡る写真のほか、朴氏や軍総司令官、軍団長ら軍最高幹部、それに伝玄松月党副部長、趙勇元党第1副部長ら党最高幹部らと、たき火に手をかざしている写真も公開した。
北朝鮮では、日本の植民地時代に金日成主席が金正淑夫人や抗日パルチザン部隊とたき火をしながら祖国を懐かしみ、抗日運動への意欲を燃やしたと宣伝されており、金正恩氏がこれにならって米国への対抗心を表したとの見方も出ている。
これについて、米政府系報道機関「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」は米海軍分析センター(CNA)のケン・ゴース専任局長への単独インタビューを実施。ゴース氏は金氏が白馬を駆って白頭山に登ったことや、今月下旬に朝鮮労働党第7期中央委員会第5回総会を招集したことに触れて、これらの狙いは米国と世界に戦略的メッセージを伝えるためのものだと述べたうえで、「金委員長は米国が対北朝鮮敵対視政策を放棄しなかったという理由で、再び核兵器開発に乗り出すことを明らかにするだろう。そうなると、来年は多くのことが起こりそうだ」と指摘した。
米国、偵察機を朝鮮半島上空に出勤
すでに、米軍は北朝鮮の軍事的挑発に備えて、連日のように偵察機を朝鮮半島上空に出動させて北朝鮮への圧力を強めている。韓国紙「中央日報」によると、米空軍の偵察機RC135Wが今月5日、ソウル近郊の京畿道南部の上空を飛行。RC135Wは米空軍主力の通信傍受用偵察機で、ミサイル発射前に地上の計測機器が発するシグナルを捉え、弾頭の軌跡などを分析する装備を備えているという。
また、4日には米軍の海上哨戒機も朝鮮半島上空を飛行しており、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射など北朝鮮による挑発の動きを探ったとみられており、軍事力行使に関して、すでに米朝両国の駆け引きは始まっているといえそうだ。このようななかで、両国の軍事的対立が激しさを増せば、米軍基地を擁する日本が北朝鮮のミサイルによって血祭りになる可能性も高まる。
(文=相馬勝/ジャーナリスト)