韓国で、学校や生徒の保護を担当する警察官(SPO/School Police Officer)による不祥事が相次いでいる。韓国警察内部は特殊調査団を設置し、大規模な調査を実施した。その結果、今回2人のSPOが女子高生相手に強制わいせつ、ストーキングを行ったとして立件された。
まず、強制わいせつの容疑で拘束されたのは、韓国第2の都市・釜山で警察官を務めるキム警長(33歳、仮名)。警長は韓国警察の下級役職だが、今年5月、ナンパスポットとして名高い釜山・海雲台近隣に駐車した自分の乗用車の中で、女子高生のチェさん(仮名)にわいせつ行為を働き、続く6月4日には、またしても駐車した車の中で性行為を強要した。いずれも強制的だったことが明らかになり、韓国警察もさすがに身内をかばいきれず、キム警長には「威力による姦淫」という罪が適用されることになった。
なお、キム警長は精神的に不安定なチェさんの状態を知りながら、相談に乗るふりをして車に誘導。逃げられない状況をつくり、性行為に及んだという。さらにひどいことに、キム警長は、インターネット上に同事件を告発する文章が掲載されると、チェさんと交わしたメッセージなどあらゆる証拠を隠滅。その後、携帯電話の番号を変えて、辞表を提出し逃亡を図った。また調査の結果、事件発覚後にチェさんへ約100万円を口封じとして渡していたことが明らかになっている。
キム警長が拘束されたのと時を同じくして、同釜山エリアで警察官として勤務していたチョン警長(31歳、仮名)も立件された。こちらは、昨年6月から今年6月までの1年間、女子高生のソンさん(17歳、仮名)に、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)で1万8449回もテキストメッセージを送り続け、執拗にストーキングを続けた。それでも飽き足らず、携帯電話にも数千回にわたりメールや電話をかけ“好意を強要”した。チョン警長に対する捜査は、ソンさん家族の協力が得られておらず、難航している。現在も周辺調査が続けられているという。
韓国警察の権威失墜は甚だしい。韓国のテレビなどでは、よく市民に暴言を吐かれたり、殴られる警察官の姿が映し出される。ぱっと見、かわいそうな気もするが、治安担当者が青少年に手を出して捕まっている状況では、同情の余地はないのかもしれない。
(文=河鐘基)