横須賀市でも、学校内の除染作業によって取り除いた除染土壌を、土のうやビニール袋に入れて、校庭内の一角に埋め立て保管してきた。校庭内に埋め立てても、その場所には立ち入り禁止の標識を付け、子どもたちが入れないように柵を設けるなど安全対策を図るということであった。
しかし、9月2日の横須賀市議会で、小室たかえ市議の質問によって、埋め立てている除染土壌の放射能汚染濃度も測っていないし、標識や柵を設けていないところもあり、安全対策も不十分にしか行われていない実態が明らかになった。また、9月23日には藤野英明市議が、移管場所について具体的に質問するなかで、横須賀市は学校内に埋め立て保管している汚染土壌を、市の下町浄化センターに移管すると発表した。
泉田裕彦新潟県知事は、放射能汚染の恐れがある災害がれきが全国の市町村に運ばれ、焼却によって汚染濃縮された焼却灰が各地の処分場に埋め立てられることに対して、「日本は、全国の処分場を核廃棄物の処分場にするのか」と批判した。
しかし今回の問題は、それに輪をかけてひどい。「日本は、全国の学校や保育園を核廃棄物の保管所にしている」のである。実態が公けとなり、保護者を中心とした市民や市議会議員が抗議の声を上げ、マスコミがそれを取り上げれば、今まで移管場所がないと言っていた行政の発言が嘘のように棚上げされ、移管場所が「見つかる」のである。
放射性廃棄物や除染土壌を学校や保育園に保管しているのは、実は横浜市や横須賀市など神奈川県に限らない。調査でも千葉県白井市、東京都大田区、埼玉県八潮市では埋め立て保管されていることがわかっているが、これら東日本全地域における放射性廃棄物の学校保管をやめさせようとする声は、横浜市、横須賀市における移管をきっかけに、広がりつつある。
【続報】一部学校では、引き続き埋め立て保管
横浜市では、前出「横浜の会」が10月17日、横浜市に対して放射性廃棄物の学校外へ移管を求める追加署名分742人分を加え、5038筆分を提出し、要請行動を行った。
横浜市は、その後の説明で、ポンプ室や倉庫などに保管していたものは、北部汚泥資源化センターに移管するが、100カ所以上の校庭や園庭などに「埋め立て保管」(実態は10cmの厚さに覆土しただけのものも)した分は、そのまま放置すると発表した。移管先の建物のスペースは十分に広く、移管は不可能ではない。