五代目山健組が神戸山口組に残留派を残し、神戸山口組を離脱したと思いきや、池田組が神戸山口組を離脱。そのほか毎日のように、神戸山口組の幹部クラスの親分が引退するのではないか、離脱するのではないかなどと真偽不明の情報が錯綜するなか、対峙する六代目山口組の中核組織・三代目弘道会、なかでも野内組が勢力を拡大し続けている。
当サイトでも幾度となく取り上げているが【参考記事「 三代目弘道会に起きた衝撃の移籍劇」】、そうしたなかでも爆発的な拡大を見せているのが、野内組の系列組織、平野権太会長率いる権太会だろう。
「破竹の勢いとはまさにこのことだ。業界関係者のなかでも、最近は移籍話が浮上すれば、まず権太会絡みではないかと噂になるくらいだ」(業界関係者)
ただ、野内組には権太会だけでなく、ほかにも強烈な存在感を示し続ける系列組織が存在している。それが二代目北村組だ。先日も、ネット上では瞬く間に通達文と見られるものが拡散された。
「移籍報告
元絆會幹部三代目勢道会々長拝藤眞治、元絆會直参二代目絆俠会々長廣瀬元則、元絆會直参伊庭組々長伊庭元始らが、7月23日付けで弘道会野内組二代北村組に拝藤(舎弟)広瀬(若中)伊庭(若中)以下18名が参加加入しました。以後名称変更後拝藤会と致し会長を拝藤眞治と致します事お知らせします」(SNSで拡散された原文ママ)
この通達文によれば、今回の移籍は、一時は確実視されていた「解散」という方針を撤回したばかりの絆會からということになる。
「絆會は、脱反社会的勢力を目指すために、解散する方向で話し合いが進められていると見られていました。そのため、仮に解散した場合、六代目山口組系へ移籍することが内定している勢力が複数あったといわれています。それが事実なら、今後もまだ絆會サイドから六代目系サイドへの移籍もあるのではないでしょうか」(ヤクザ事情に詳しい記者)
この記者によれば、解散を前提に移籍話を進めていた勢力のなかには、解散が撤回となっても、六代目サイドに移籍する意思はもう変えられないと考えている組員たちも少なくないというのだ。
それにしても、三代目弘道会の勢力拡大は目を見張るものがあると、業界関係者らは口を揃える。
「野内組で相談役という名誉職を務めている権太会だけで、一説には半グレまで合わせるとすでに200人にもなる、といわれている。二代目北村組においても、大阪でも激戦区といわれる西成で組員を増やし、盤石な勢力を誇っているといわれているのだ。その上部団体の野内組ともなれば、現在、いったいどれくらいの勢力になっているかわからないほど。資金面を中心に多くの組織の基盤が弱体化しているなかで、組員を増やせるほどの安定性をもった組織は、移籍先として魅力的といえるのだろう」
確かに、野内組を率いる野内正博組長は、六代目山口組・髙山清司若頭が創設した初代髙山組で行動隊長を務めた経歴を持つ人物で、いうなれば「髙山若頭のDNAを受け継ぐ最高幹部のひとり」といわれている。その野内組長が昨年11月に三代目弘道会の若頭に就任して以降、自身が抱える組織を急速に拡大させているということだ。
冒頭でも触れた通り、神戸山口組の中核である五代目山健組内部が揺れ動いているのに対して、六代目山口組の中核である三代目弘道会内は、野内組を軸にさらに強固な組織力を築いているといえる。この対照的な構図が、今後の六代目山口組分裂問題に影響を及ぼす可能性は高いといえるのではないだろうか。
(文=山口組問題特別取材班)