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六代目山口組の中核、三代目弘道会に起きた衝撃の移籍劇…分裂騒動で何が起きているのか?

文=沖田臥竜/作家
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SNSで拡散された、権太会幹部らが集まった会合の模様

 六代目山口組の中核組織、三代目弘道会。そのなかでも昨今ひときわ勢力を拡大し続けているのが、三代目弘道会で若頭を務める野内正博組長率いる野内組ということになるだろう【参考記事「六代目山口組・司忍組長の最新動向」】。六代目山口組分裂後、野内組長および野内組はたびたびその存在がフィーチャーされ、組織内での影響力も右肩上がりを続けてきた。そんな野内組長について、過去に刑務所で寝食をともにしたことがある関係者はこう話す。

「与えられた仕事は決して手を抜くことなく、リーダーシップを発揮し率先してこなす。その規範的な務め方は武士そのもの。関西の刑務所だったが、野内組長がその工場にいるだけで、受刑者のみならず刑務官もピリッと引き締まるほどの存在感があった。ヤクザが男として受刑生活を送る上で、手本となるような人物だった」

 野内組は、岐阜県に本拠地を置いている。関西の刑務所といえば、いわばヨソの地域ということになる。とりわけ刑務所というところは、地元の受刑者が顔役として幅を利かせやすい環境にあるのだが、野内組長はそんな“アウェー”でも特別な存在であったという。カリスマ性という表現は安直かもしれないが、そんな魅力ある人柄が多くの人を引き寄せ、現在の野内組の隆盛につながっているとの見方も強い。

「六代目山口分裂後、一時は同組と対立する陣営にいたものの、のちに野内組へと移籍することになる二代目北村組・西川純史組長も、そんななかのひとりだろう。西川組長も当時、野内組長と同じ工場で務め、一目置かれるような存在だったが、そうした大物も野内組長に惹かれていったのではないか」(同)

 そんな野内組の勢いを象徴しているのが、昨年同組に加入した平野権太会長率いる権太会である。昨今のヤクザをとりまく厳しい情勢により、組員の減少や解散などに直面する組織が多いなか、権太会は六代目山口組の四次団体という一見下部に思えるポジションながら、組織関係者が200人に迫るという驚異的な拡大を続けている。それはひとえに、平野会長の存在感の大きさが影響しているといえるだろうが【参考「山口組分裂騒動で注目の権太会長とは」】、そんな権太会において、またも業界内がざわめき立つ移籍が実現したという。

 6月20日付けで、神戸山口組の主力団体で舎弟に名を連ねた組長が権太会へと加入を果たし、同時に野内組の名誉職ともなる「相談役」に就任したというのだ。さらに同日付けで、神戸山口組傘下組織の幹部組員も舎弟として権太会への参入を表明。あわせて、野内組長の直系若い衆として、野内組の直参になったというのである。

 この移籍が、なぜ業界関係者の間で大きな話題になっているのか。ヤクザ事情に詳しいジャーナリストはこう説明する。

「昨年、六代目山口組による神戸山口組への攻撃が激化した時、今回、神戸山口組系組織から権太会に舎弟として移籍した組員は、報復として弘道会系幹部を襲い怪我を負わせるという犯行におよび、現在、社会不在を余儀なくされています。また、それ以前にも組のために身体を賭けたことがある名の知られた武闘派。その人物が、これまで対立してきた弘道会系組織へ移籍したのですから、驚きが広がるのは当然です。

 また、今回、権太会の最高顧問に就いた組長の下にいた若頭も、かつて弘道会系組織へと攻撃をしかけ、現在、社会不在を余儀なくされています。その若頭も大阪では有名な人物。つまり、今回移籍した組長らは、六代目山口組との抗争の最前線にいたということ。その勢力が敵陣に移籍したのですから、インパクトとしては限りなく大きいといえるのではないでしょうか」

 業界内では、どうしてこのような移籍劇が起きたのか、さまざまな憶測が飛び交っているようだが、真相は不明だ。だが、野内組、権太会を筆頭に、ここに来て弘道会の求心力が高まっていることは事実だろう。というのも、弘道会への移籍はこれだけにとどまらず、絆會(旧称・任侠山口組)で直参を務めていた会長も、弘道会系小澤組への移籍が決定したというのだ。

「神戸山口組サイドでは、そうした現象に歯止めをかけるべく通達を流したといわれています。六代目山口組サイドへ復帰を果たす組員が立て続けに出たことに、危機感を抱いているということではないでしょうか」(実話紙記者)

 また、絆會は沈黙を守り続けている状況だが、ここに来てある噂が再び囁かれているという。それは、絆會が組織の今後を左右する重大な発表をするのではないかというものだ。

 六代目山口組分裂問題が勃発して、もうすぐまる5年。次なる段階に向けて、大きく動き出す前兆なのかもしれない。

(文=沖田臥竜/作家)

沖田臥竜/作家

沖田臥竜/作家

作家。2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。小説『ムショぼけ』(小学館)や小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部)はドラマ化もされ話題に。最新刊は『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』(同)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

Twitter:@pinlkiai

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