先頃、新人事を発表させた絆會(旧名「任侠山口組」)。その絆會きっての武闘派組織といえば、長野県松本市を拠点とする竹内組であった。
この竹内組の三代目組長は、織田絆誠・絆會会長の懐刀として知られる金澤成樹会長が務めていた。その金澤会長が、現在の織田連合の前身組織となる連合の会長職に2017年に就任した際に、竹内組は新体制を発足。四代目には、同組で副組長を務めていた宮下聡組長が就任していたのだ。
そして、金澤会長は先ごろ新体制が発足した絆會で、ナンバー2となる若頭に就任していたのだった。実力、功績からいっても、順当な人事といえるというのが業界内の評価だった。
その竹内組が、9月28日に、六代目山口組の中核組織、三代目弘道会傘下の三代目髙山組へと移籍し、髙山組組員らが竹内組事務所へと詰めかけてくることは、午前中の時点で竹内組関係者には知られていた。そして、16時を回った時点で、竹内組事務所は髙山組の指揮下に置かれ、事実上移籍が決定したという情報が飛び交っていたのだった。
それについて、ある業界関係者は、このように話す。
「竹内組の髙山組への移籍の話は、急に湧いたことではない。この夏、絆會の解散が囁かれたときに『移籍は内定している』とまで噂になっていたほどだ。それが急遽、絆會が解散を取りやめたことで、もしかすると絆會執行部と竹内組との間で異変が起きていたのではないか。先代となる金澤会長は、どこまでも織田会長についていく意志を示していたといわれており、一方の四代目の宮下組長は、竹内組を率いて髙山組へと移籍する決意は変わらなかった。そして、28日午後には、竹内組の移籍が正式に決まったといわれていたのだ」
そして、その矢先に事件が起きたのだ。
28日17時、長野県宮田村の飲食店の駐車場で、金澤会長が宮下組長に向け発砲し、現場から逃走をはかったのである。宮下組長は腹部を撃たれ、重傷だという。その後、竹内組の事務所には、大勢の警察官が詰めかけ、警戒にあたることとなったのだ。
「金澤会長といえば、織田会長の生粋の若い衆で、極道として相当な人物として知られています。織田会長が六代目山口組や神戸山口組を割って出た時も常にそれに従い、織田会長が今後どのような道を進んだとしても、それに付き従うのではないかと見られていました。そんな金澤会長が、六代目山口組に移籍することを選択した宮下組長を発砲したということになります」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)
若頭自らが、代を譲った組長を発砲し、逃走することになった絆會。同時に、絆會きっての武闘派組織として知られる竹内組が弘道会傘下へと移籍したのである。今後の絆會の組織運営は一体どうなっていくのか? 六代目山口組は、今回の銃撃事件にどんな反応を見せるのか?
現在のところ、六代目山口組サイドの長野県の組員らには待機命令がかかっており、金澤会長の逃走劇は続いている。
(文=山口組問題特別取材班)