連日の猛暑が続くなかで突入した盆休み。そうしたなかでも、六代目山口組サイドによる、対峙する陣営への切り崩しは活性化していたという。既報の通り、8月に入っても、神戸山口組や絆會(旧名「任侠山口組」)から、六代目山口組系組織へ移籍や合流する勢力が後を絶たないのだ【参考記事「六代目山口組系権太会がさらなる拡大」】。
「ここのところ、両陣営による表立っての衝突はないが、水面下では現在も、六代目山口組サイドによる切り崩し工作は緩むことなく続いているようだ」
業界関係者がそう口にしていた矢先の8月15日、山口県岩国市で突如、銃声が鳴り響いた。
銃弾を浴びたのは、神戸山口組二次団体の幹部、撃ったのは六代目山口組サイドの組員と見られている。水面下では相手組員の切り崩しを進める一方で、武力を行使する。六代目山口組の現在の勢いを誇示するかのような出来事に、前代未聞の山口組分裂からまる5年が経つのを目前にして、六代目山口組が一気に決着をつけにきたとも思える出来事であった。
「今回、撃たれたのは、二代目木村會の最高幹部。木村會の山本彰彦会長は、神戸山口組では若頭補佐という執行部の一端を担う大物で、撃たれた最高幹部も、山本会長が木村會の当代となるまで率いた組織を受け継いだほどの実力者です。そして、その後に警察に出頭してきた男は、六代目山口組二代目竹中組傘下の篠原会幹部ではないかと見られています。この笹原会は、名古屋市に拠点を置きながら、山口組分裂前までは山健組系に所属、分裂後に六代目山口組の二代目竹中組へと移籍しました。去年11月、兵庫県尼崎市内で神戸山口組幹部がマシンガンで射殺される事件がありましたが、その実行犯となった元組員も、さかのぼれば笹原会の組員だったという話です。
幸いにも、今回の銃撃された幹部は命に別状はないとのことですが、事件の動機が個人間の怨恨などではなく、六代目山口組サイドによる組織的なものだとすると、神戸サイドに与えるインパクトは大きなものになるのではないでしょうか」(実話誌記者)
確かにここ最近、神戸山口組が劣勢に立たされている印象は否めない。中核組織である五代目山健組の主要勢力が、分派する形で離脱【参考記事「新生・五代目山健組がついに誕生」】。続いて、有力直系組織である池田組の脱退、かつ、発足当時から神戸山口組の執行部を務めた幹部の引退【参考記事「神戸山口組の「大御所」が離脱…」】。そうしたなかでの今回の銃撃事件。神戸山口組内で動揺が起きてもおかしくない状況が、立て続けに起きているといえるだろう。
ただそれでも、一気に分裂問題が終結まで向かうかといえば、まだ時間はかかると指摘する声もあるようだ。
「神戸山口組のなかには、まだ諦めていない勢力が存在しているともいわれている。派手な報復合戦や大量の組員の移籍劇などが起きなかったとしても、そうした勢力が残っている限り、分裂状態が続く可能性は考えられる」(捜査関係者)
そして、分裂問題が解決しない限り、こうした発砲事件が今後も起きる可能性は十分に考えられるわけだ。
(文=山口組問題特別取材班)