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引退した絆會若頭が六代目山口組に謝罪か…一方で新体制となった絆會と池田組が会合

文=山口組問題特別取材班
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神戸山口組への残留を決めた元幹部らへの、五代目山健組による「絶縁状」。山菱の代紋が見当たらない

 神戸山口組結成当初からその中核を担ってきた五代目山健組が、神戸山口組を離脱したのは記憶に新しい。その山健組が先日、神戸山口組に残留を決めた五代目山健組直系組長らを処分する回状を関係先に送付したようなのだが、その回状には、これまで組織の象徴としてきた菱の代紋(山口組の「山」の字を菱形に変形された「山菱」と呼ばれる代紋に、「山健」の文字が付されたもの)が記されていなかったのだ。

 そうした状況は現在、五代目山健組に限って起こっていることではない。今年1月に任侠山口組から組織名を改名した絆會においても、改名時に菱の代紋を下ろしたのち、いまだに新たな代紋などは公表していない。それは、7月に神戸山口組を離脱した、岡山県に本拠地を置く池田組においても同じだった。

「池田組も神戸山口組から離脱後、関係先へと挨拶状を送付しているが、代紋などは記されていなかった。一説には今後池田組は、その昔、岡山県で勢力を誇った伝統組織の代紋を掲げるのではないかという噂があります。というのも、池田組を率いる池田孝志組長が、その組織の系統に当たるからです。

 ただ絆會においても、結成後、何度か代紋を公表するのではないかと業界関係者の間で話題になったことがありますが、現時点ではまだ発表されていません。代紋は組織のアイデンティティに大きくかかわるものなので、決定に至るまでには紆余曲折があるだろうし、簡単には決められない。どの組織も正式に公表されるまでは、どのような代紋になるのか予断を許さないでしょう」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)

 その池田組と絆會であるが、今月10日、独立後初となる、両組織のトップを始めとした最高幹部らの会合が、岡山県内で持たれたというのだ。池田組長と絆會の織田絆誠会長は、神戸山口組時代から昵懇であったと評されてきた間柄。池田組離脱の際には、両者は合流するのではないと噂されていたため、この会合にも注目が集まった。

「会合には池田組長をはじめ、絆會の織田会長も出席。今後、友好な関係を築いていくことがあらためて確認されたのだろう。織田会長らはその後、六代目山口組分裂後に凶弾に倒れた池田組元若頭の墓参をして帰ったという話だ」(捜査関係者)

 一方で、8月に絆會の若頭という重職を辞職し、自身の組織を解散させて、渡世から足を洗った元四代目真鍋組・池田幸治元組長が先日、六代目山口組の関係先を訪ね、同組最高幹部らに謝罪をしたのではないかという話が業界関係者内を駆け巡っている。

「六代目山口組サイドから漏れ聞こえてくるのは、六代目山口組を割って出た直参組長らに対して打ち出されたという、『仮に神戸山口組を当時の直参組長が離脱し、カタギになったとしても、それでケジメをつけたことにはならない』という方針。直接、謝罪などなんらかの意思表示がなければ、いくら引退したとしても、許す許さないという以前の問題と考えているのではないか。そのために、池田元組長は、謝罪のために六代目山口組サイドを訪れたとみられる」(業界関係者)

 元六代目山口組直参だった組長が、反旗を翻した古巣に、ケジメとして詫びを入れにいく……それは、現在の六代目山口組の圧倒的な優位さを印象づける出来事といえるのかもしれない。

 三代目弘道会を中心に、離脱した組員らが続々と復帰する六代目山口組。中核組織の離脱や最高幹部らの引退などで、その勢力を衰退させる神戸山口組。両陣営にも所属せず、独自の組織運営を行うことになった五代目山健組、絆會、池田組。こうした構図の中、山口組分裂問題はいよいよ佳境を迎えようとしているのかもしれない。

山口組問題特別取材班

山口組問題特別取材班

ヤクザ業界をフィールドとする作家、ライターおよび編集者による取材チーム。2015年の山口組分裂騒動以降、同問題の長期的に取材してきた。共著に『相剋 山口組分裂・激動の365日』(サイゾー)がある。

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