民進党の蓮舫代表は7月18日、記者会見を行い、戸籍の一部などを公表して自身の二重国籍問題について釈明した。
昨年9月、民進党代表選の際に二重国籍疑惑が浮上し、10カ月後にようやく詳細を明らかにした。今まで安倍晋三首相をはじめ、他者を舌鋒鋭く追及してきた蓮舫氏だが、自身については歯切れの悪い説明が続いたため、民進党の支持率低下を招いた。
民進党執行部は、「二重国籍疑惑が解明されていないから支持率が低い」と考えているようで、「他人には厳しく、自分に甘い」姿勢が問題の根本だと気づいていいない。
事実、戸籍を開示したことで、現在は台湾国籍を抜けていることが確認できたにもかかわらず、それを評価する声は聞こえてこない。蓮舫氏は、二重国籍の状態が昨年10月まで続いていたことについて、「故意ではない」「台湾籍を抜けたと思い込んでいた」として違法性がないことに理解を求めたが、あまりにも自分勝手な説明ではないか。
民進党はかつて、ペルー元大統領のアルベルト・フジモリ氏の二重国籍について、厳しく政府に攻め寄っている。
辻元清美議員(当時民主党)は、2001年3月6日提出・質問第39号「ペルー共和国前大統領アルベルト・フジモリ氏に関する質問主意書」において、次のように質問している。
「1990年7月にフジモリ氏はペルー共和国大統領に就任している。フジモリ氏がいわゆる日系人であることは当初より公知の事実であったと考えるが、日本政府はその就任時点でフジモリ氏の国籍を確認したのか。もし確認を怠ったのであれば職務怠慢であると考えるがいかがか。また、その時点で政府がフジモリ氏の日本国籍保持を確認していたのであれば、国籍法第16条第2項に基づき国籍喪失の宣言を行ったのか明らかにされたい。もし行わなかったのであれば、その理由並びにどのような場合にこの条項に基づく宣言がありうるのか、明らかにされたい」
フジモリ氏が日系人であることは周知の事実であったのだから、国籍確認をしていなければ職務怠慢であると詰問している。
この論に従えば民進党は、蓮舫氏を2004年の参議院選挙に出馬させた段階、2010年に行政刷新担当大臣として入閣させた段階、昨年に党首として選ぶ段階で、いずれも同氏の国籍を確認していなかったわけで、職務怠慢との誹りは免れない。
聖書の有名な教えのひとつに、「人を裁くな。あなたがたも裁かれないようにするためである。あなたがたは、自分の裁く裁きで裁かれ、自分の量る秤りで量り与えられる」という文言がある。
蓮舫氏は安倍首相や稲田朋美防衛大臣などに対して、「ミスだとしても責任は免れない」と辞任を迫ってきた。だが、自身の二重国籍問題については「故意ではない」との説明で逃れようとしている。蓮舫氏は、自身の発言によって裁かれなければならない。
(文=平沼健/ジャーナリスト)