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さんきゅう倉田「税務調査の与太話」

銀座の高級クラブで一大脱税発覚…ホステスに追徴課税1千万円か

文=さんきゅう倉田/元国税職員、お笑い芸人
銀座の高級クラブで一大脱税発覚…ホステスに追徴課税1千万円かの画像1「Thinkstock」より

 元国税局職員、さんきゅう倉田です。夢は、「滞納者を151人集めて、『ガサ入れマスター』になること」です。

 東京・銀座――。日本の一等地である、この地には数多くのクラブがあります。ひとり5万円からという料金は、一般の国家公務員の給料ではとても入ることができません。どんなシステムなのか、どのような環境なのかも未知の世界。やはり、「内観調査」が必要です。

 そこで、希望者を募り、計3名で内観調査に出向きました。19時に職場を出て、夕食を兼ねて打ち合わせを行います。絶対に、「指名をしない」「女の子にドリンクを頼ませない」「アフターに行かない」という“3カ条”を共有して、3人の偽装したプロフィールを決めます。

 飲食店の内観調査は多々ありますが、従業員と個人情報を交換するタイプの店では、キャラクターが定まっていないと素性がバレる可能性があります。今回は、入念に話し合い、「地方から行商でやってきたメッキ屋さん」を名乗ることにしました。

 銀座に馴染みがある職業や女の子の興味をかきたてる業種だと詳しく聞かれてしまう可能性があるので、食いつきの悪そうな職業を選びました。打ち合わせを終え、新橋駅から銀座7丁目まで歩き、お店に入ります。席に着くと、すぐに女の子がやってきて、名刺をくれました。むぎ焼酎「吉四六」の水割りをつくってもらい、質問をされないように、こちらから衣川の戦いの矢の如く質問します。

 弁慶というよりは、義経のように華麗な女の子たちは、公務員のなんの抑揚もない葬式のお経より眠たくなる話を聞いて楽しそうに笑うのです。このとき得た情報によると、女の子たちは、店から源泉はされているものの、確定申告をしている人としていない人はおよそ半々に分かれていました。年収は1200万円ほどですので、大きな増差(未納の税金)が見込めます。

 ホステスの源泉所得税について、国税庁は次のように述べています。

「ホステスに報酬を支払うときは、所得税を源泉徴収しなければなりません。源泉徴収すべき所得税の額は、報酬から1回に支払われる金額について、5000円にその報酬の計算期間の日数を乗じて計算した金額を差し引いた残額に、10.21%の税率を乗じて算出します」

 つまり、たとえば7月の場合、31日ありますので、31日×5000円を7月の報酬から控除して、10.21%を掛けた金額が源泉所得税の金額となります。しかし、女の子の年収が仮に1200万円であった場合、最高税率は33%、所得の半分以上に20%以上の税率が課されます。確定申告をしないことで、申告漏れが発生するのです。

さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人

さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人

大学卒業後、国税専門官試験を受けて合格し国税庁職員として東京国税局に入庁。法人税の調査などを行った。退職後、NSC東京校に入学し、現在お笑い芸人として活躍中。著書に『元国税局芸人が教える 読めば必ず得する税金の話』(総合法令出版)、『お金持ちがしない42のこと』(Kindle版)がある。
さんきゅう倉田公式ホームページ

Twitter:@thankyoukurata

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