6月28日、中国人民銀行の周小川総裁が「資金供給で市場の安定を図る」方針を示したことから、上海株式市場は8営業日ぶりに反発した。それでも上海総合株価指数は4年半ぶりの安値圏で推移している。上海市場では、銀行・証券・保険などの株が急落し、日米欧の株式市場への影響が顕著になってきた。
帳簿外金融の多くは不良債権化している。中国の昨年の財政赤字はGDP比で1.5%だ(公表数字はこうなっている)が、国際通貨基金の調査では10%。政府による銀行の(赤字)補填が財政を蝕んでいる。金融危機を防いだとしても、融資の縮小で中国経済は大きく減速を余儀なくされるだろう。
●日米で中国銘柄を選別する動き
ここ最近、東京市場ではコマツ、日立建機や新日鐵住金、JFE、さらには総合商社などの銘柄が株価を下げている。機関投資家は「当面、中国関連株は手掛けにくい」と言っている。
米国ではスポーツ用品の世界大手、ナイキのマーク・パーカー最高経営責任者(CEO)が中国事業の売上高の減少の可能性に言及した。ナイキの中国事業の売上高は全体の1割にすぎないが、株価は中国市場の動向に敏感だ。
「中国で、高額品の販売で稼いできた米欧企業は要注意」なのである。ナイキだけではない。小売りの世界最大手のウォルマート・ストアーズの中国市場の売り上げは横ばい。5月に、中国部門の副社長2人が辞任したことも明らかになった。
底堅い米国景気。下降線をたどる中国。「西高東低」の現実がどこまで続くのか。米国でも、金利上昇から景気の腰折れ懸念を指摘する声が大きくなってきた。
影の銀行は、不動産市況が悪化した途端に、一気にはじける。中国という爆弾を抱えながら、アベノミクスは爆走を続ける。
●中国、金融報道を規制
中国共産党中央宣伝部が国内メディアに対して、金融市場に出回っている資金が足りないことなどに関する報道を規制する通達を出していることがわかった。
経済の先行きに対する懸念が、社会不安や当局批判につながることを警戒しての措置だ。
通達は6月25日付で、(1)市場での資金不足や株安を大きく取り上げない(2)中国人民銀行の政策を「肯定的かつ正確」に解説・報道する–となっている。
習近平総書記が就任して以来、言論統制が強化されているが、影の銀行問題の深刻さを裏付けるような事実だ。だが、ここまでやると、中国は影の銀行問題で墓穴を掘ることになるかもしれない。
(文=編集部)