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こうしたアメリカの“本気の圧力”を感じたのか、すでにオーストラリアやニュージーランドではファーウェイ排除の動きが進んでおり、イギリスでも英秘密情報部(SIS)のアレックス・ヤンガー長官が安全保障上の脅威を理由にファーウェイ製品の利用禁止を促しているほか、通信大手のBTグループは次世代の通信規格「5G」はおろか現行の3G、4Gからもファーウェイ製品を排除すると表明している。さらに、日本政府もファーウェイおよびZTEの製品を各府省庁や自衛隊などから事実上排除する方針だ。
ファーウェイの基地局を採用するソフトバンク
背景にあるのは、アメリカによる「中国製造2025」潰しだ。中国は産業用ロボットや航空宇宙分野などの成長が見込まれる10大産業に資金を集中投下して重点的に育て上げる政策を掲げており、25年に「製造強国」となることを目指している。その重点分野のひとつが5Gであり、中国はインフラ整備に注力しているわけだが、旗振り役ともいえる存在がファーウェイだ。
ファーウェイは通信基地局の世界シェア1位で、すでに66カ国の通信会社向けに約1万件の基地局を出荷している。そこで問題になるのが、ソフトバンクだ。ソフトバンクはファーウェイの基地局を採用しており、同社と5Gの共同開発や実証実験を行っている。しかし、前述のように今後はファーウェイとの関与が経営リスクとなりかねない上、たとえば米政府機関と取引のある企業はソフトバンクから他社に乗り換えるという動きも予想される。そのため、かねてソフトバンクの対応が注目されていたわけだが、仮にファーウェイを切り離すとしても、事業計画や資金計画に狂いが生じることは不可避だろう。ソフトバンクは、現状維持でも路線変更でも大きな経営上のリスクを抱えているといえる。
日本は19年から5Gの導入を進め、20年の東京オリンピック・パラリンピックまでに実用化を目指している。そのため、3大キャリアは基地局メーカーなどと実証実験を行っており、すでに一部で設備が導入済みだ。NTTドコモはノキア、KDDIはエリクソンと実証実験を進めており、前述のようにソフトバンクはファーウェイと組んでいるという構図だ。
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