6日13時39分頃、ソフトバンクの携帯電話で大規模な通信障害が発生し、北海道、大阪、名古屋、福岡など広い範囲に影響が広がった。同社によれば、18時頃から順次、復旧し始めているというが、今回の障害の原因について、ITジャーナリストの山口健太氏は次のように語る。
「ユーザが利用する携帯電話は各地に設置された基地局と通信をやりとりしますが、その基地局同士をつなぐ交換設備の不具合が原因だと同社は説明しています。キャリアは日常的にハードウェアの交換など、交換設備のメンテナンスを行っていますが、そういうなかでも障害が起こった。今後、ソフトバンクは重大事故として総務省に本件を報告し、指導を受けることになります」
ソフトバンクの携帯電話では、今年2月には約9時間にわたり大規模な通信障害が発生していたが、同社でたて続けに障害が起きる背景には、何か要因あるのだろうか。
「イギリスのO2でもソフトバンクに近い時間帯に障害が起きており、英紙フィナンシャル・タイムズはエリクソン製のソフトウェアに原因があると報じています。こうした障害はNTTドコモやKDDIなど他のキャリアでも起こり得るものであり、『ソフトバンクだから』という同社特有の要因は考えにくいです」
そして今回の障害による影響の大きさについて、山口氏は以下のように指摘する。
「携帯電話が単に“電話の手段”であった時代であれば、障害がこれほど大きな話題にはならなかったでしょうが、現在では常にスマホの画面を見ていたり、通信している人も多い。企業の側でも、たとえば佐川急便では配達員の専用端末がソフトバンク回線を利用しており、通信障害により集荷や再配達などの連絡が届かないとの事象も発生したように、携帯電話回線の障害が社会に与える影響の大きさが改めて浮き彫りになりました。
すでに、携帯電話回線を使ってリモートで自動販売機の状況を監視するなど、個人向けのスマホ以外で利用されてるケースも多い。さらに今後はIoTの普及や、次世代の移動体通信規格『5G』の商用サービス開始に向けた実証実験が進むなかで、あらゆるものが無線でインターネットにつながっていくという大きな流れがある。今回の障害は、そうした社会全体の動きに対して『本当に大丈夫なのか』と一石を投じるかもしれません」(同)
“電話がつながらない”という単純な話では、終わらないようだ。
(構成=編集部)