世間に大きな衝撃を与えた、NGT48の山口真帆に対する暴行事件。一部のメンバーが事件に関与していたのではないかとの疑惑、さらには犯行グループとNGT48の運営サイドの間になにがしかの繋がりがあったのではないかとの疑惑も浮上しているが、事件の全容は解明されていないままだ。NGT48の運営会社であるAKSは第三者委員会を設置し、事件の調査を行うとのことで、その結果次第ではAKS内部での“処分”もあり得るだろう。
「どこまで真相が解明されるかわからないが、AKS内の誰かがきちんと責任を取らなければ、NGT48のスポンサーとなっている地元企業は納得しないでしょう」(芸能記者)
その一方で、NGT48を含むAKB48グループの総合プロデューサーである秋元康氏が、今回の事件についてなんらかの責任を取る可能性は低いという。
「秋元氏はあくまでもプロデューサーであり、形式的にはグループのマネージメントにかかわっているわけではない。もちろん、マネージメントについて口を出すことはありますが、立場的には責任を取ることはないでしょう」(前出・芸能記者)
そもそもAKB48グループは、芸能界の中でもかなり特殊な運営形態となっている。姉妹グループの運営会社(所属事務所)がそれぞれ異なっており、さらに同一グループのメンバーがそれぞれに別の芸能事務所に所属しているというケースもある。「AKS」という基本となる組織はあるものの、さまざまな会社が複雑に絡み合っているのだ。ここで今一度、各姉妹グループの運営会社をおさらいしてみよう。
AKB傘下のグループでも運営形態はさまざま
【グループ名→運営会社】
AKB48→AKS
SKE48→AKS、3月1日以降はSKEが継承する予定
NMB48→Showtitle
HKT48→AKS
NGT48→AKS
STU48→STU
AKB48グループ全体の運営会社はAKSとなっており、AKB48、HKT48、NGT48もまたAKSが直接運営する形となっている。そして、NMB48とSTU48はそれぞれ別会社が運営、SKE48についてはAKSの運営だったが、近々また別の会社に移行する。
「NMB48が所属するShowtitleは、吉本興業の子会社です。もともとNMB48はパチンコメーカー京楽産業.と吉本興業の合弁会社であるKYORAKU吉本.ホールディングスの所属でしたが、2016年にShowtitleに運営が移行しています。NMB48としての活動はShowtitle、つまり事実上、吉本が運営を担当し、AKB48グループでの活動はAKSが仕切ることとなります」(芸能事務所関係者、以下同)
STU48を運営する「STU」は、広島市に本社を置く企業。STU48を運営するために2017年に設立された。
「『STU』は瀬戸内地方の観光を推進する企業である瀬戸内ブランドコーポレーションが出資する会社。つまり、瀬戸内地方の様々な企業などが絡んでいるということで、旗振り役となっているのが博報堂です。ちなみに、NGT48の新しい支配人となった早川麻衣子氏は元STU48のマネージャーだったりもするので、人材的にはAKSとクロスしているということですね」
SKE48は今年3月から新会社「SKE」の運営となる予定だ。
「ゲームセンターなどの運営をしていたアドアーズを源流とする『KeyHolder』という会社が、SKE48事業を買収した形でAKSから引き継ぐこととなっています。KeyHolderはSKE48の運営をするために『SKE』という子会社を設立、今後SKE48の運営会社は『SKE』となります」
ちなみに、同じく秋元氏がプロデュースする坂道グループの運営会社・所属事務所は、乃木坂46が「乃木坂46合同会社」、欅坂46と日向坂46が「Seed & Flower合同会社」となっており、いずれもソニー・ミュージックエンタテインメント内に本社が置かれる形となっている。
また、秋元氏が企画を担当したテレビ朝日系の番組『ラストアイドル』から誕生したアイドルグループ・ラストアイドルは、鈴木奈々らが所属する芸能事務所「TWIN PLANET」が統括マネージメントを行っている。
責任の所在が判然としない複雑なシステム
「基本的に48グループはAKSが中心となって運営し、坂道グループはソニー・ミュージックエンタテインメントが運営します。いずれも、大きなプロジェクトが動くときは秋元氏の意向が汲まれますが、その後の運営管理や実働部隊はAKSやソニー・ミュージックのため、結果的に秋元氏のイメージと異なる形で着地することもある。人材については、48グループ内では流動的なようです。ラストアイドルについては、また別物といった感じですね」
AKSやソニー・ミュージックエンタテインメントといった軸はありつつも、さまざまな企業が絡み合って成立している秋元康氏のアイドルビジネス。そのことが、彼の地位をより一層盤石なものにしている一方、責任の所在が明確になりにくいという構造的な問題を生んでいるのかもしれない。
(文=編集部)