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安倍政権の格差拡大政策は、戦争参加の自衛隊に貧困層を入隊させるため?日弁連元会長激白

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 2008年に私はアメリカのロサンジェルスへ貧困問題の調査に行ったのですが、その際に鬱病状態になっている帰還兵に話を聞きました。その人は貧困家庭で育ち、大学の4年間に1000万円くらいの借金をしました。学生結婚をしているので、奥さんも1000万円の借金。合わせて2000万円の借金を抱えて社会に出ました。いい仕事に就かないと、その借金を払えなくなってしまいます。

 アメリカの大学は、ばらつきはありますが、年間200~800万円の学費がかかります。奨学金制度はありますが、社会に出た後で返済できずに破産申請して免責決定を受けても、税金や罰金と同じく、奨学金も免除されないのです。

 かつて、ウォール街を占拠する運動がありましたが、そのときのインタビューで「大学で奨学金債務を抱えているが、仕事がないので返せない」「請求書が毎月届いて困っている」と答えた人が多くいました。

 そういう人たちが軍に入れば、国が借金を肩代わりしてくれるのです。しかもいろいろな資格も取ることができます。そのようにして貧困層の若者が軍に入り、戦争が起こると戦闘地域に送られていくのです。

 安倍政権による貧困と格差を拡大させる政策は、将来的に戦闘行為をすることで自衛隊に入る人が減った場合を想定してのことと考えられます。できるだけ貧困家庭を多くしておけば、背に腹は代えられないと軍に入る若者が確保できる。そして国に大学の授業料を出してもらう。そういう予備軍をつくろうとしているのではないか――と、ある大学の教授が指摘していますが、アメリカの状況を見れば、決して的はずれではありません。

●安倍政権軍事化の三本柱

 国家安全保障戦略、新防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画が、昨年12月17日に閣議決定されました。今まで日本の戦力は、日本が攻撃されたときに反撃する専守防衛のためとされてきましたが、この閣議決定により、敵基地攻撃能力を有するとする施策を打ち出しています。本来、これは閣議決定でなく国会で決めるべきだと思います。

 さらに、武器輸出三原則を緩和し、軍需産業を増やす意図が明白になっています。自国内の戦力だけではなく、輸出できるようにすれば効率的に武器の改良・開発ができ、ひいては軍事技術を発展させることができるからです。

 仕上げとしては、国家安全保障基本法の制定が考えられます。集団的自衛権の行使容認も閣議で認める可能性もあります。従って、特定秘密保護法の廃止運動は、国家安全保障基本法の制定や集団的自衛権の容認を阻止する運動につなげていくことが大きな課題になるのではないでしょうか。
(文=林克明/ノンフィクションライター)

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