安倍政権の格差拡大政策は、戦争参加の自衛隊に貧困層を入隊させるため?日弁連元会長激白
今回は、そんな宇都宮弁護士に、貧困拡大と集団的自衛権行使の関係について話を聞いた。
●明文改憲と解釈改憲の両方を目指す安倍政権
憲法を改正するためには、衆参の国会議員の3分の2以上の発議で国民投票にかけなければならないと憲法第96条に定められています。公明党は憲法改正に慎重ですが、現在の衆議院は、明確に改憲賛成としている自民党、日本維新の会、みんなの党の議席を合わせると全体の3分の2を超えています。
参議院は、昨年7月の選挙で自民・維新・みんなを合わせると142議席になりました。参議院は242議席なので、3分の2に当たる162議席には達していません。そのため、96条を含む明文改憲は少し遠のいた状況です。そのため、安倍首相は解釈改憲に突き進んでいるわけですが、明文改憲をあきらめたと判断するのは早いと思います。民主党内の改憲勢力を取り込み、3分の2に達する可能性があるのです。
96条改正議連の中には民主党議員も多く名を連ね、安倍首相と歩調を合わせる議員もあり、公明党に対しても改憲に踏み込むようにプレッシャーをかけ続けているので、明文改憲の可能性が完全になくなったとはいえません。すぐに改憲発議ができる体制が整っていないので、とりあえず解釈改憲に力点を置き換えているわけです。
また、臨時国会で通った国家安全保障会議設置法と特定秘密保護法は、解釈改憲、具体的には集団的自衛権を行使してアメリカとともに戦争をできる体制をつくり上げていく一環としての法律です。1月24日から始まった通常国会では、国家安全保障基本法を成立させる可能性があります。この法律は、集団的自衛権の行使を認める内容になっています。
●集団的自衛権行使で戦争参加を可能にする
これまで、集団的自衛権の行使は憲法9条に違反するというのが一貫した政府の解釈でした。その解釈を支えてきた象徴が内閣法制局ですが、安倍政権はこの内閣法制局の長官に、集団的自衛権を認めるべきと主張する小松一郎氏を据えました。
従来の自衛権の解釈は、日本が外部勢力によって攻撃された場合に反撃することが自衛権の範囲で、これは憲法9条の下でも許されるとしていました。また、日本が直接攻撃を受けず、アメリカ軍が攻撃された場合に反撃することは許されないというのが一貫した政府の解釈でした。首の皮一枚で憲法9条が守られてきたのです。