芸能プロ社長、タレント脅迫裁判で慰謝料命令 「君は人生破滅。あらゆる手段使う」
「まじめに人生考えなきゃだめだよ。俺は人の上に二十何年間立ってきて、世の中動かしてきたくらいのつもりだから、むちゃくちゃプライドあるよ。その男を敵に回したら、どうなるかということを、考えたほうがいいよ。俺は法律とか裁判とか関係ないから」
「これだけプライド傷つけられたの、生まれて初めてだから。この期に及んで親とか弁護士とか出してきたら、君は完全に人生破滅すると思っていいよ」
「俺はあらゆる手段を使うよ。人生終わると思うよ。幸せはないよ」
山本は、たまらず「具合悪いんで、帰っていいですか」と告げ、帰ろうとしたが、八木氏は、
「死ぬ気でちゃんと対話しようよ。死んだらしょうがないじゃん」
「具合悪いとか精神的になんだとか、言っている場合じゃないんだよ。親も心配して、それで死んだら、しょうがないじゃん。それだけのことしちゃったんだから」
「ホームから飛び降りたら、しょうがないじゃん。そんだけ悪いことしたんだから」
と、死を示唆するような言葉を用いて脅しを強めた。
12年3月7日、再度話し合いの場を設け、山本は「契約を解除することに同意してください。解除に同意してもらえない場合、契約満期となる11月30日まで仕事をしますが、その後の更新はしません」と告げた。
それに対し八木氏は、「君の人生ぐちゃぐちゃになるよ」と再度脅した。
この面談後、山本は強い震えと嘔吐に襲われ、3日後、近所の精神科で受診したところ、医師に「事務所の社長の言動のせいで、『不安障害』になっています。これ以上、その社長と会うことは避け、仕事を休んで休養を取ることが必要です」と診断されたため、山本は八木氏に対し、今後は弁護士を通すよう伝え、直接の連絡を絶った。
●契約違反として提訴し、中傷ツイートを繰り返し
こうして契約が切れた後の12年12月21日、八木氏は会社名義で、山本と保証人である山本の父親を相手取り、2000万円の賠償金の支払いを求め、東京地方裁判所に訴訟を起こした。
また、この提訴の後、八木氏は自身の会社のツイッターで、
「ツイッターを削除し、“証拠隠滅”を図る“山本早織”。彼女の数々の業界批判や“ビッグ”発言に関係各所から『あいつは何様だ』『いつまで勘違いしているんだ』『ああいう輩を野放しにするな』等お怒りの言葉が寄せられる。“育ちの悲哀”とはいえ、彼女の“成れの果て”には“哀れみ”を禁じえない」
「業界を追われ訴えられた“山本早織”(略)彼女を憐れむ“お仲間”は三流芸人と売れなかった着エロタレントくらい」
「被告となった山本早織は(略)規範を守れない愚かな脱落者」
「業界の落ちこぼれ」
などと、山本を中傷する投稿を繰り返した。
これらを受けて、山本は反訴した。反訴の請求内容は、不安障害に陥るに至った八木氏の不法行為による精神的苦痛、未払い報酬、弁護士費用、中傷ツイートによる名誉棄損などの代価として、計720万4582円を支払えというもの。
審議が進み、13年12月18日、一審判決が下った。裁判所は、山本がタレント活動を続けられなくなった原因は、八木氏の言動によって精神的に追い詰められ、不安障害を罹患したことにあると認定し、未払い賃金120万円、慰謝料30万円などを含め、約200万円の支払いをバックアップ・プロモーションに命じた(東京地裁民事第49部の:飯淵健司裁判長)。
●控訴審も社長の不法行為を認定
その後、八木氏は控訴したが、山本は控訴しなかった。もうかかわりたくない、早く裁判を終わらせたい、という心境と見受けられる。