ビジネスジャーナル > 社会ニュース > アイドルと交際のファンに損害賠償?
NEW

アイドルと交際したファンに運営側が脅迫の疑い「やくざを使い殺す」 無効な損害賠償請求

文=平沼健/ジャーナリスト
【この記事のキーワード】, ,

アイドルと交際したファンに運営側が脅迫の疑い「やくざを使い殺す」 無効な損害賠償請求の画像1青山・聖ハチャメチャハイスクール「STARTING OVER」(「公式YouTubeチャンネル」より)
 アイドルグループ青山・聖ハチャメチャハイスクールのメンバーが、ファンと交際したとして今年4月にグループを脱退した件で、グループを運営する事務所がメンバーおよび親権者、さらに交際相手のファンにまで損害賠償を請求していると11日、日刊スポーツが報じた。

 4月、当時中心メンバーだった結城美帆と美浦聖奈が突然グループを脱退した。8月に都内で行われたファンイベントで、プロデューサーが「重大な契約違反があった。2人はファンと交際していた」などと脱退理由を説明していた。

 プロデューサーは、「ファンと恋愛関係にならない」「職場放棄をしない」との契約を交わしていたと話し、契約違反に基づいて損害賠償請求していることの正当性を主張した。

 この件につき、民事法の専門家で高等裁判所の裁判官も務めた弁護士は「恋愛を禁止した契約は無効の可能性が高いと考えます。『ファンと』恋愛しないとすることに一定の合理性も認められるとの見解もありますが、そもそも自由であるべき恋愛を禁じることに疑問を感じます」と述べ、契約を交わした元メンバー2人についても、契約違反とならない可能性があるとの見解を示した。

 また、運営側は交際相手についても、インターネット上で実名を暴露した上で、損害賠償を求める内容証明書を送付したようだが、これについて同弁護士は「そもそも契約関係にない交際相手に損害賠償請求は無理があります。単に威嚇したいだけでしょう。それよりも、実名を暴露したことが名誉毀損罪に該当する可能性があります。今回は内容証明書を送っただけのようですし、本気で訴訟を起こす気があるかどうかもわかりません」と語り、あくまでも脅しの意味合いしかないと推測する。

「しかし交際相手が、恋愛禁止の契約があることを事前に知っており、さらに交際によって運営側に損害が生じることを把握した上で故意に損害を与えた、と立証できれば損害賠償の義務を争える可能性はあります」という。ただし、現実には、そのような立証は不可能に近いだろう。

●運営側に脅迫の疑い

 また芸能界の関係者も「他のアイドルグループでも、メンバーとファンの恋愛はよくありますが、せいぜい交際相手をライブやイベントに入れさせないくらいの対応しかしない。よほど腹に据えかねて、他のメンバーへの見せしめの意味も込めて厳しい対応をしたのだろう」といい、今回の運営側の対応に驚きを隠さない。

 一方、交際相手の1人と見られている男性が自身のブログを更新して、823万2400円の損害賠償請求が届いていることを明らかにするとともに、「一般な市民とし自由に恋愛をしただけです」と反論。

 さらに、「あなた方は『やくざを使い殺す』と言いましたよね?」と脅迫されていることを示唆している。これが事実であれば、運営側の違法行為といえ、大きな問題となりそうだ。アイドルとファンの交際という、よくあるスキャンダルにとどまらず、事態が大きく発展する可能性を秘めた今回の事案は、今後の推移が気になるところだ。
(文=平沼健/ジャーナリスト)

アイドルと交際したファンに運営側が脅迫の疑い「やくざを使い殺す」 無効な損害賠償請求のページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!