三井住友銀行、認知症女性に執拗な投資勧誘で2千万円の損害与える 虚偽の社内資料作成
判決文や陳述書などの裁判資料によると、被害に遭ったのは大阪府在住の80代後半のAさん。Aさんの姪のBさんによると、Bさんが結婚した1994年頃からAさんは様子がおかしかったという。例えば、電話を切った直後にまたかけてきたりするようなことがあった。その後、Aさんの症状は徐々に悪化していき、2003年には軽度のアルツハイマー型認知症と診断され、「要支援」とする要介護認定を受けた。翌年には、さらに悪くなったため、ヘルパー2級の資格を持つBさんが週5日世話をするようになった。
その頃のAさんは、「友人のお金を立て替えた」として、当の友人は返したと主張しているのにしつこく請求してトラブルになったり、自宅でテレビを見る際に音量が大きすぎるとして隣から苦情が来たりしていた。
06年、症状は進行し、要介護度は「要介護2」に変更となった。その頃にBさんはAさんと養子縁組をして家族全員で同居し始めた。
事前にAさんの兄C氏が、「娘たちが引っ越してくる」と説明すると、「はい、わかりました」と言っていたAさんだが、いざ荷物が運ばれてくると非常に驚いて「こんなことは聞いていない」と叫んで怒り出した。
その後、1階にAさん、2階にBさんの家族が住むようになったが、Bさん家族がいない時にAさんは2階に上がり、冷蔵庫やパソコンのコードをすべて引き抜いて冷蔵庫内の食品が傷んだことが何度かあったため、2階を施錠するようになった。
誕生日に御馳走をつくって祝った際、Aさんはすごく喜んだが、食事が終わり食器を下げると、食べたことを忘れていた。正月にも、Aさんはおせち料理を喜んで食べたがBさんが片付けようとすると、「今年の正月は何も出なかった。つまらん」と言い出すようになった。ほかの食事のときも、食べ終わった直後に「食べていない」と叫び、Bさんが「大声を出さないで」と制すると、近所に聞こえるほどの大声で「助けて」とさらに叫んだこともあった。
また、尿や便の失禁をし、晩には奇声を上げ、何度も同じ質問をし、突然「何がなんだかわからない」と叫び、昼夜問わず机や自分の肩を激しく叩くなど、手に負えなくなることが頻発した。
そうした振る舞いをする一方、Aさんは子供の頃のことは鮮明に覚えているようで、兄とけんかしたことなどをよく話していたという。