新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、全国的な休校が続くなか、学習の遅れへの懸念からか、書店では学習ドリルや参考書など、子供向け教材の売り上げが伸びている。
なかでも歴史ジャンルが好調だ。たとえば『東大教授がおしえる やばい日本史』(ダイヤモンド社刊)は、政府が各都道府県教育委員会等に臨時休校を通知した2月27日に、売り上げが前日の倍に、翌日はさらにその倍になったという。歴史ジャンル以外でも、大手書店の売り上げランキングでは、3月に入って以降、上位には『 Z会小学生わくわくワーク』や『学研の総復習ドリル』といった学習ドリルのタイトルが目立つ。
「休校特需」ともいえるこの状況で、やはり売上を伸ばしているのが、「マンガ日本の古典」 (中央公論新社刊)シリーズだ。
目を引くのは、テレビでもおなじみの東大最強のクイズ王・伊沢卓司さんがおススメしている点。「原典を読む以上に内容を理解できる」と推薦していることもあり、古文の受験対策書として定着。このシリーズ、創刊は1995年と歴史も古く、これまでに累計420万部以上発行されているという。
このシリーズは受験シーズンの一月後半から二月初頭が需要のピークだったが、2月27日を境に売り上げが倍増。受験期をはるかに越える売り上げを記録し、3月8日からの1週間で4,000冊を超える売り上げを記録しており、季節外れのヒットとなっている。
古文は現代語訳と一緒に読んでもとっつきにくく、学生時代に苦しんだ人も多いだろう。しかし、マンガならば楽しみながら理解することができる。版元の中央公論新社によると、親が「子供の勉強のために」と買い与えるケースや、祖父母が孫の入学祝いにプレゼントするケースが多いそう。また、世代を問わず、大人が自身の学びなおしのために読むケースも増えているという。
親子で楽しみながら学べるという理由から、この一斉休校中も読者が急増していると考えられる。
「マンガ日本の古典」は全32巻。日本の主要な古典23作品を収録している。『古事記』を石ノ森章太郎が、『太平記』をさいとう・たかをが、そして『今昔物語』を水木しげるが描くなど、親や祖父母の世代にとって馴染み深い大物漫画家が作画を手がけている点も、手が伸びやすいポイント。
今回のコロナ騒動で外出やレジャーを控えている人は多いだろう。子どもの学習に、また自身の学びなおしに、古典を学んでみるのもいいかもしれない。
(新刊JP編集部)