今、アメリカのメジャーリーグでホームラン王への道をひた走っているエンゼルスの大谷翔平選手。投手としても安定した成績を残し、まさに彼の代名詞である「二刀流」がアメリカで輝いている。
そんな大谷選手がプロ入り後初めてのキャンプの際に唯一持ち込んだとして話題になっている本がある(*1)。西沢泰生氏の『壁を越えられないときに教えてくれる一流の人のすごい考え方』(アスコム刊)だ。
本書は2013年に刊行され、「一流」と呼ばれる人たちのエピソードを通して、悩みやモヤモヤを解決し、明るく前向きな心にしてくれる一冊である。
著者の西沢氏によれば、世間で「一流」と言われている人たちには、圧倒的に「前向きな人」が多いのだとか。そういった前向きな思考を持つことができれば、私たちも同じように成果を残すことができるかもしれない。
では、どんなことが書いてあるのか。さっそく見ていこう。
■イチローが嫌いな言葉は意外にも…?
大谷選手が大活躍するメジャーリーグという舞台でレジェンドとして名を残しているのがイチローさんだ。そんな彼がインタビューの中で「嫌いな言葉」として2文字の漢字を挙げた。
それが「成功」だ。その理由は、自分で立てた目標を成し遂げることが成功というのならわかるが、他人が言う成功を追いかけたら何が成功かわからなくなる、ということだった。
私たちはつい他人の言うことを鵜呑みにして、評価を委ねてしまいがちだ。しかし、大事なのは自分自身がどう考えるか、ではないだろうか。「他人を基準にしたら、自分の明日は描けない」とは元アスリートの為末大さんの言葉。トップクラスにいる人たちは、他人の評価に惑わられず、自分基準を信じているのだ。
■そこでプレーできるのは自分たちだけという特権
もう一つ、本書の中から野球にまつわるエピソードを。桑田真澄さんと清原和博さん、いわゆる「KKコンビ」がいた時代のPL学園に、夏の甲子園で唯一黒星をつけたチームが木内監督(当時)率いる取手二高(茨城)だった。
1984年の夏の甲子園決勝。PL学園対取手二高は9回裏にPLが起死回生のホームランで同点に追いつき、延長に入る。優勝目前で追いつかれた取手二高ナイン。心が折れかかった彼らを木内監督はこう励ましたそうだ。「よかったなあ、まだ甲子園で野球ができるぞ!」
この一言が心機一転になったのか、10回表に取手二高は4点を奪い、茨城勢で初の甲子園優勝を果たすことができた。ピンチもプレッシャーも、そこにいる自分だけに与えられた特権だと思えば、気持ちも楽になるはず。置かれている状況を存分に楽しむべきなのだ。
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本書では、野球のエピソードだけでなく、岡本太郎や黒澤明といった著名人から、長年米作りをしてきた農家のハッとするひと言などが取り上げられている。袋小路に入ってしまったときにちょっと視点を変えてくれるようだ。
大谷選手がこの本を持ち込んだ1年目のキャンプというと、まさにプロのスタート地点ともいえる時間。そこで大谷選手はこの本からどのようなことを学んだのだろうか。(新刊JP編集部)
【参考サイト】
*1…大谷翔平がプロ入り後の初キャンプに唯一、持ち込んだ「無名の会社員が書いた本」(週刊女性PRIME)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。