「中間管理職」は、業務でも人間関係でもストレスを感じやすいポジションだ。下からは愚痴を言われ、上からは無理難題を押しつけられるのがこのポジションの宿命。ただ、「中間」という立場だからこそ、上司を導き、部下を導き、チームを導き、組織を動かすことができるポジションでもある。
『組織をうごかす中間管理職 挟まれ役の心得とリーダーシップ』(スコット・マウツ著、久木みほ訳、アルク刊)は、米国のP&G(プロクター・アンド・ギャンブル)で中間管理職から経営幹部までを経験した著者のスコット・マウツ氏が、中間管理職という「挟まれ役」を活かして、組織を成功に導くための心得とリーダーシップ術を紹介している。
上司との関係を築くための6つのステップ
上司の高評価は自分の影響力と存在感をバックアップしてくれるため、キャリア形成の上でも重要な人間関係だ。もし管理能力を評価されたいなら、上司の扱いも管理能力のひとつになる。では、どのように上司との人間関係を築けばいいのか。それには6つのステップがある。
1.まずは基本を理解する
職場の人間関係の基本を理解し、受け入れることが重要だ。上司との関係においてのつまずきと回避法を知ろう。たとえば、上司を導くことと、機嫌を取ることは同じではないといったことだ。
2.真意を理解する
上司が何を期待しているかを正確に示してくれる上司は少ない。「求められているレベルはどのような内容でしょうか?」といった、的を射た質問をしなければいけない。
3.スタイルに注意する
上司のスタイルを理解し、適応しようとしなかったために、人間関係が悪化することがある。そのため、上司のスタイルに合わせて自分のやり方を調整する必要がある。
4.個人的にも関係をつくる
ステップ1~3で基本的な信頼関係を構築してから、個人的な関係を築いていく。そこでは上司を観察し、焦らずに関係づくりを進めることが大切だ。
5.自身の責任を果たす
自己管理ができているか、自分の仕事の基本部分に抜かりはないか、自分自身を確認し、上司を導く力がついているかを判断する。
6.目的を意識する
上司をサポートし、ここぞというときに頼りになる部下として業務を進行し、よく動くことで関係は強固になる。理由と方法を意図的に選択肢、目的意識を持ったサポートをする。
中間管理職といえば、部下との関係構築にスポットライトが当たりがちだが、上司との関係も、自分自身のために必要になる。そこでこの6ステップを通して、上司との関係を築いていき、自分の基盤をつくり上げていくことが大事だ。上司、部下との人間関係に悩んでいる人は本書から、中間管理職の心得とリーダーシップを学んでみてはどうだろう。中間という立場を活かすことで、やりがいも感じられるはずだ。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。