パソコンは使うけれども、「プログラミング」となると「チンプンカンプン」という人は多いだろう。何かの不具合でパソコンが動かなくなってしまったらもうお手上げだし、黒い画面に数式や英語が並んでいるのを見ても理解不能…。
でも、少しはプログラミングのことを知っておきたいと思っている人は多いはず。今後、さらに一般人のプログラミングに対する知識の重要性が増すことは容易に想像できるし、今や21世紀の教養となりつつあるのではないだろうか。
『教養としてのプログラミング講座』(清水亮/著、中央公論新社/刊)では、プログラミングに直接携わっていない人はもちろん、現役のプログラマーであっても楽しみながら理解できるように、プログラミングの成り立ちから仕組み、そしてプログラミングから見た世界などについて順を追って紹介した一冊だ。
全くの初心者がプログラミングを学んだ場合、プログラミングの技術の他にどのような効果があるのか。
著者の清水氏は、プログラミングを学ぶと身に付くものとして、「論理的なものごとの考え方」「情報を適切に分類し、活用する方法」「最小の手間で正確な仕事をこなすための思考法」「知らない人と知恵を共有する方法」の4つを挙げている。
テクノロジーの進歩とともに、プログラミングは圧倒的に簡単になっている。それだけにプログラミングを学ばないのはもったいない。プログラミングを学ぶことで身に付く知恵は実生活のさまざまな場面でも応用が利く、とても有意義なものばかりだからだ。
そもそもプログラミングとは何のことを指すのか。
単純な言葉の意味としては「プログラムを組む」ということになる。
では、「プログラム」とは何を指すのか。これが、実は身近にたくさんあるのだ。例えば、運動会のプログラム、結婚式の式次第、テレビ番組など。こういったプログラムに共通する特徴は、「順序立てられている」「予め作られている」「何かのタイミングでとるべき行動が決められている」といった点だ。
こういった手順やルールを「プログラム」と呼ぶのであれば、多くの「プログラム」に囲まれて私たちは生活しているといえるのだ。
実はコンピュータに関係しないプログラムと呼ばれているものは身近にたくさんあり、その特徴はコンピュータのプログラムに近いものがある。
実はプログラミングの思考は、「縁がない」と思い込んでいる人たちにとっても重要だといえる。たとえ職種は違えども、今まで自分にはなかった思考方法やプログラマー特有の考え方を通じて、日常生活や仕事がより良くなっていくはずだ。