世の中には、本来は企業側の善意であるはずのインターンですら「ただ働きはさせるな。労働基準法を完璧に守らせろ。そうでなければブラック企業だ」などと揶揄する人たちもいます。しかし、入り口だけ美化して誘導して、学生に貴重な新卒カードを切らせた後で本音を見せる会社と、入り口から腹の底までさらけ出してくれる会社のどちらが学生思いなのでしょうか。圧倒的に後者だというのが筆者の意見です。
「ミスマッチをなくし、3年以内の離職率を抑制したい」と願うのなら、入り口で本音を見せつけるようなプログラムを用意するべきでしょう。
インターンシップの利用法
これからインターンへの参加を考えているという人の参考までに、どのようにインターン制度を活用するとよいかを説明しておきましょう。
まず、大学1、2年次には、幅広い業種の現場型インターンを経験しておきます。1年次でのインターンは早すぎると感じる人も多いでしょうが、ベンチャー企業等では年次を問わずに受け入れていますから可能なのです。広い意味ではユニクロを展開するファーストリテイリングの1年次内定もそうです。時間的余裕がないという人も、アルバイトの時間を割り振ってでも参加することをおすすめします。
その上で、3年次からは、ある程度絞ったインターンをいくつか経験します。できれば、そのまま選考プロセスに乗っかれるのが理想ですが、そこはあまりこだわらず、自分の興味のある分野で、仕事の中身を経験できる企業を選びましょう。どうしても行きたい会社があって、お客様インターンしかやっていないという場合は、それも受けておくべきでしょう。残念ながら、選考プロセスでインターンに参加したか否かをチェックする大企業もあるからです。
そして、いよいよ新卒採用がスタートすることになります。「全然聞いたこともないような会社数社でインターンを経験しても評価してもらえない」と思う人もいるかもしれません。もちろん、インターン経験が他社からも評価されるような会社はありません。それ以前に、その発想が、そもそも間違いです。重要なのは、いろいろな職場を見ていく中で自分がどういうスキルを伸ばしてきて、今後どのようにキャリアを伸ばしたいかです。その点で、きっとあなたはいつの間にか、非常に強力な武器を持っているはずです。
「やりたいことがありません」「具体的な仕事内容が全然見えてきません」といった弱音を吐く人がいますが、上記のようなプロセスを踏めば、少なくともそうしたスランプ状態には陥らないはずです。
(文=城繁幸/人事コンサルタント)
※本稿は、城繁幸氏のメルマガ「『サラリーマン・キャリアナビ』★出世と喧嘩の正しい作法」から抜粋・編集したコンテンツです。
【筆者プロフィール】●城 繁幸:人事コンサルティング「Joe’s Labo」代表取締役。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。代表作『若者はなぜ3年で辞めるのか?』『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』等。
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