(3)年長社会人との触れ合い機会提供
学生の立場では、質問したり相談できる社会人が周囲に少ない。多くの社会人と触れ合って、ざっくばらんな話ができること自体が職業理解、企業理解にも有効である。さらには、コミュニケーションの場数を増やすことにもなる。皆さまの社会人のご友人、ご親戚、会社の同僚や後輩、場合によっては先輩や上司など、お子様とコミュニケーションできる機会を設けられれば、アドバンテージになり得る。
(4)世の中の「会社」と「仕事」への想像力を広げる
学生が就職先として真っ先にイメージするのは、「テレビCMなどで名前を聞いたことがある」「コンビニで商品を見たことがある」「実際に買って、商品やサービスを利用したことがある」といった「消費者目線」の会社ばかりだ。これには採用側も辟易としている。
単なる「1ユーザー」や「ファン」というだけでは、どうしても視野が狭くなり、仕事への理解も浅いものとなる。目に触れたものや話題になっているニュースなどから、「これに関わる会社や仕事にはどんなものがあるだろうか?」「どうやって儲けているのだろうか?」といった疑問を投げかけ、お子様が自律的に社会や職業への興味関心を持つような環境作りが大変有効である。
(5)「経験に意味づけ」をする
学生は「これまで●●をやってきた」という「経験」を語ることはできるが、社会人として働いた経験がないため、「それが社会で/志望企業で/担当職種で、どう活かせるのか」という「意味」を見出すことが不得手である。
ご自身がお持ちの情報や経験を交えながら、お子様の経験を「ビジネスの視点から解釈」する形でアドバイスできれば、視野を広げ、効果的なアピールを作成するのに役立つ。過去の経験やそこから得られたことが、具体的な仕事の場面においてどのように応用できそうか、「会社が求める人物像」などと照らし合わせながら、協働して準備されることをお勧めしたい。
現在の「就活」においては、多くの難関がお子様を待ち受けている。多くの学生が、迷い、悩み、誰かに相談したいと感じている。そんな子どもたちの話を聞き、適切なアドバイスをするために、まずは現在の就職活動に関する知識をお持ち頂ければ幸いだ。
その上で、家庭内でのコミュニケーションを増やし、将来や仕事、就職について「親子の会話」をされることをお勧めしたい。それが長期的にはお子様の社会への理解を助け、理想的な形で就活を終えられることにつながるだろう。
(文=新田龍/採用コンサルタント)