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実は30万円!? 下げたら何ができる?

就職氷河期、本当の理由は高すぎる大卒初任給?

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ある意味、幼児虐待...(「Thinkstock」より)
 新入社員にとって、社会人になった実感も持てるのが、うれしい初月給。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、昨年の大卒初任給の平均は20万2000円(額面)。前年比2.3%増で初めて20万円の大台に乗った。今年は景気が回復基調にあり、調査平均が20万円台を再び割り込むことはないだろう。

 だが、喜びに水を差すようでもあえて問いたい。初任給20万円は高すぎないか?

 今年4月の平日は20日間。ということは日給1万円。就業時間が9時から5時までで、休憩が1時間とすると、実勤7時間で割ると時給は1428円になる。今どき、そんなボロいアルバイトがどこにある?

 厚生労働省のモデル年金は月額23万1648円(昨年度)だが、これは夫婦2人分の支給額。妻の国民年金分6万6008円を差し引くと、夫1人だけでもらえる金額は16万5640円しかない。

「プレジデント」(プレジデント社/07年12月号)によると、世界の主要都市に勤めるサラリーマンの、ボーナスを含まない平均月収は、先進国でもイタリア・ローマが19万200円、韓国・ソウルが17万9500円で20万円を割る(円換算、額面)。

 つまり、日本の大卒新入社員の初任給は、ボロいアルバイトの時給よりも良く、モデル年金支給額1人分よりも良く、平均的なイタリア人や韓国人の月給よりも高いのである。
 
会社は、新入社員1人に月25万〜30万円を注ぎ込む

 初任給を受け取った新入社員が、「会社は右も左もわからない私に20万円も使う」と思ったとして、その謙虚さは買うが金額は間違えている。20万円ではなく、22万8682円だ。なぜなら企業は、社員の各種社会保険料も負担しているからだ。

<社員の月給に対する、会社の保険料負担分>

 厚生年金 8.206%
 健康保険 4.985%(協会けんぽ/東京都)
 雇用保険 0.85%
 労災保険 0.3%(その他の各種事業)
 合計   14.341%

 月給20万円の場合、会社は20万円×14.341%=2万8682円を、月給以外にその社員に払っていることになるのだ。そのほか、通勤交通費も支給するし、財形貯蓄、厚生年金基金、社員食堂の利用、共済会費といった会社負担分が発生する。さらに独身寮や借り上げ社宅の場合、それだけで会社負担は月数万円は下らないだろう。

 福利厚生だけでなく教育研修にもカネがかかる。新入社員の入社前後の1人当たり平均研修費用は20万8989円(産労総合研究所の調査)で、月額換算で1万7415円だ。

 以上をトータルすれば25万円突破はまず確実で、福利厚生が手厚い会社、教育研修に熱心な会社なら30万円を超えるケースもあるだろう。だが、仮に30万円としても、初任給はその3分の2を占め、やはり大きい。