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闘うジャーナリスト・佐々木奎一がゆく! ワーキングクラスの被抑圧者たち 第二回

「『会社に残りたい』は寝言」富士ゼロ"脅迫"解雇事件の闇

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新製品はパワハラ?(「富士ゼロックス」HPより)

 ニュースサイト「マイニュースジャパン」を中心に、企業のパワハラ問題や労働争議を追いかけ、常に弱者の立場にたった取材を続けるジャーナリストの佐々木奎一。独自のルートで取材した、企業裁判のか中にある人々の声を世間に届ける!

 富士ゼロックス(以下、富士ゼロ)でパワハラに遭いクビを宣告されたD氏(30代後半、男性)の件は前回報告した通りだが、被害者はほかにもいる。被害に遭ったのはAさん(40代前半、女性)である。Aさんは1980年代後半に短大卒業後、富士ゼロックスに入社。以後、20年以上にわたって同社で勤務してきた。

 そんなAさんに災いが降りかかったのは、09年1月初旬のこと。突然、人事部Y氏に、会議室に呼び出され、説明もなくこう聞かれた。

 「昨年12月26日の朝は、どこにいたの?」

 Aさんは理由もわからないまま、「(同社のオフィスがある、六本木の)東京ミッドタウンにいました」と答えた。しかし、数週間後、また会議室に呼ばれて「12月26日の朝は、本当はどこにいたのか? 入り口ゲートの記録を調べれば、すべてわかる」と問いただされた。

 富士ゼロのオフィスの出入り口ゲートは、ICチップ社員証で開閉する。その時の入館、出館の時刻は、自動的に記録される仕組みになっている。そして、富士ゼロの社員は、自らの出勤、退勤の時刻を、社内ネットワークシステム上に自分で入力することになっている。要するに自己申告制である。これを基に賃金が算出されるようになっている。

 当時Aさんは、部署異動に伴う引き継ぎで、それまでの仕事場であった如水会館ビル(千代田区神保町)と、新しい職場となった東京ミッドタウンを行ったり来たりしていた。両オフィスは、地下鉄で片道約30分の距離である。

 そして、人事部によると、Aさんは12月26日の朝「東京ミッドタウンに午前9時31分に出勤」と申告しているが、入り口ゲートの記録では「如水会館に午前10時18分に入館」となっているという。その47分の食い違いを、人事部は問いただしたわけである。

 Aさんによれば、齟齬が生じた理由は、その日は東京ミッドタウンに忘れ物があったので朝立ち寄ったものの、電車の遅延や駅構内の混雑で時間がなかったので、建物の入り口前で引き返し、如水会館に向かったのだという。そして、出勤時間を午前9時31分としたのは、東京ミッドタウンの入り口前に9時半過ぎに来ていたことから、出社したことにしてしまえ、という甘えが生じてしまったのだという。

 これを人事部は、「出社時間の虚偽入力」と指摘し、顛末書を提出させた。だがこれは、その後に続く強制解雇劇への序章でしかなかった。

 翌2月18日昼ごろ、外出中のAさんはY氏から「面談をするので、会議室に至急来てくれ」と電話で呼び出しを受けた。会議室に行くと、初対面の男性が待機しており、人事部規律チームのI氏とH氏という人物だった。(ちなみにH氏は、D氏のパワハラ解雇事件の主要人物の一人)