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ストレス、不規則な生活で女性を失う?

治療は患部にゼリーや棒…定期的”営み”で女性版EDを防げ!

文=編集部
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治療は患部にゼリーや棒...定期的"営み"で女性版EDを防げ!の画像1気持ちが和む…(「Thinkstock」より)
 彼女とベッドに入り、電気を消して、「さあ!」という時に相手が背中を向けたまま。

 つれない態度に気を落とした経験はないだろうか。なかには、パートナーとの別れを予感するケースもあるかもしれないが、ちょっと待ってほしい。ED(勃起機能の低下)に悩む男性がいるように、「FSD」(Female Sexual Dysfunction:女性性機能障害)を患う女性が、近年徐々に増えているからだ。

 女性医療クリニックLUNAグループ理事長で、女性泌尿器科専門医の関口由紀医師は「FSDは、いわば”女性版ED”。症状は、『性的意欲の障害』『性反応の障害』『オーガズムの障害』『性交疼痛症(挿入時の痛み)』の4つがあり、放っておくとセックスレスにつながります」と語る。そもそも「したい」と思えないケースや、したいけど感じない、痛くて入らないといったケースまで個人差はあるが、パートナーにも言えずに悩む女性は少なくないという。

 FSDは10年ほど前から病気として医学界でも認識されるようになった。EDに比べて医学的な研究が進んでいないため、患者数に関する明確な統計はないが、関口医師の元を訪れた患者は延べ400人以上に上る。年齢層は40代以降が中心だが、「30代でどうしてもセックスができなくて、と言う方もいます」と関口医師。自分のパートナーがFSDだとしても、決して驚く話ではない。

 では、FSDになってしまう原因は何か?

 男性のEDの場合、ほとんどがストレスや不規則な生活習慣が原因と言われるが、FSDにも共通する面があるようだ。関口医師は「60〜70%は心理的なストレスで、あとは女性ホルモンの低下や、もともと粘膜が弱い体質などが関係しています」と説明する。医療機関で受診すると、問診やホルモンの値を調べる採血のほか、外陰部や骨盤底筋の診察をし、原因を特定するという。

「骨盤底筋とは、骨盤内にある膀胱や子宮、膣などを支える筋肉のことです。産婦人科の内診と同様、膣内に指を挿入して診察します」(関口医師)

FSD の原因は介護疲れに夫の浮気etc.

 治療法は、年齢や症状によって様々だが、一般的な流れは以下の通り。

「まずは、普段の生活や夫との関係に悩みがないかカウンセリングします。介護疲れや夫の浮気が原因で濡れにくくなる、というケースが結構あるんですよ。そうした場合は、心理面のケアと同時に、リューブゼリーをはじめとする潤滑液を使ったセックスを提案します」(同)

 これで改善しなければ、薬物療法や理学療法に移るという。FSDの治療薬として、外用と内服の2種類が使用され、効果が高いのは外用のほうだ。

「『バストミン』という女性ホルモンを配合した軟膏を、陰部に塗る治療法があります。ホルモン剤は皮膚吸収がいいため、効き目が早く表れるんですよ。合わせて、『DHEA』や『ピクノジェノール』といった性ホルモン様作用のあるサプリメントを飲むことで、効果が出ることがあります」(同)

 また、症状によっては、女性にも男性ホルモンの薬を使うことがある。

「男女問わず、性的意欲は男性ホルモンが司っていますから、意欲障害の重いケースには『グローミン』という男性ホルモンの軟膏を使用します。男性は7〜8センチ分ほどを陰部に塗りますが、女性は1センチ弱の量を女性ホルモンの薬と混ぜて使います」(同)

 こうした薬物療法と同時に行われる理学療法が、より実践的な治療だ。

「私は”ちつトレ”といっていますが、膣を緩めたり締めたりするトレーニングがあります。一般的には骨盤底筋トレーニングと呼ばれ、尿失禁の治療に用いられています。全身をリラックスさせた状態で膣と肛門をギュッと締めるのですが、症状に合わせて目標回数を設定します。ようは、おならを止めるときに締める筋肉を鍛えるのですが、最初はまったく動かせない女性が、たくさんいるんですよ」(同)

 ほかにも、関口医師は”ちつマッサージ”を指導することもあるという。

「FSDの方は、膣内側面の筋肉が固くなっていることが多く、そこを指で刺激してほぐすのです。本来は自分で行いますが、パートナーにしてもらってもいいでしょう」

 こうしてみると、FSDの治療は手間と根気が必要な大変なものである。男性からすると気が滅入りそうな面もあるが、症状が重くなると、さらに厳しい治療法が待っている。

「ダイレーターといって、シリコンなどでつくられた棒を、膣内に挿入する方法があります。細い棒から徐々に太い棒にして膣を拡張していくわけです。この方法は、恐怖や痛みのため結婚してもセックスができない女性(未完成婚という)の、認知行動療法の1つとしておこなわれます」(同)

 

 女性の涙ぐましい努力の結果、めでたくセックスができるようになればいいが、「男性側の協力も必要」と関口医師は強調する。

「女性がFSDにならないためには、セックスが頻回な20〜30代の時期に、お互いにどうすれば気持ちいいのか会話しておくこと。さらに40歳を超えたあたりからは、お互いに気持ちがいいと感じるセックスを、決まったペースでし続けることが大切です。50歳を過ぎた男性は、定期的なセックスがないと急激に勃起能力が衰えますが、これが女性の性的意欲を低下させます。セックスの回数や頻度はパートナー同士で決めればいいのですが、コンスタントにし続けることが大事です」(同)

 男女の性の悩みは、実は鏡合わせといえよう。 

 なお、彼女やパートナーがFSDの治療を始めたからといって、「俺のために頑張ってくれて」と安心するなかれ。「最近では、セックスレスだった夫と離婚して、次のパートナーを見つけるためにFSDを治療する女性もいます」と関口医師。愛想を尽かされないための信頼関係が、何より大切と肝に銘じたい。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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