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ゴルフ大手PGM対アコーディア買収戦は日本版M&Aの新局面!?

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ゴルフ大手PGM対アコーディア買収戦は日本版M&Aの新局面!?の画像1「Thinkstock」より

●株主が賛同すれば敵対的TOBではない?

 11月15日、ゴルフ場運営会社のPGMホールディングスは、同業のアコーディア・ゴルフに対する株式公開買い付け(TOB)の公告を行った。

 買い付け価格は1株8万1000円で、アコーディア株の15日の終値同5万3200円に52%のプレミアムをつけて、16日から来年1月17日まで2カ月間受け付ける。

 PGMは売上高707億円、ゴルフ場数121で業界第2位、アコーディアは売上高867億円、ゴルフ場数132で業界首位である(2012年3月期)。ともに、バブル崩壊後の「失われた20年」の間に破たんしたり経営危機に陥ったゴルフ場を次々と買収して、業界2大勢力にのし上がった。

 もしTOBの結果、PGMがアコーディア株の過半数を取得して同社を支配下におさめると、市場規模が9220億円(「レジャー白書2012」)のゴルフ場業界に、全国に約2400カ所あるゴルフ場の1割強を運営する「ガリバー企業」が出現する。

 アコーディアは15日、「事前協議のない一方的なTOB」というコメントを発表して反発しており、このTOBは「敵対的TOB」になる可能性がある。しかしPGMの神田有宏社長は15日の記者会見で、「経営陣が反対しても、株主が賛同すれば友好的TOBだ」という独自の論理を披露した。

 それに対しアコーディアは20日、「TOBに賛同するかどうかの(金融商品取引法上の)意見表明はまだ行っていないが、PGMが主張する事実には認識の相違がある」とやり返しており、TOBには抵抗する姿勢を見せている。「金融商品取引法上の意見表明」には社外取締役や社外監査役の意思を確認する手続が必要なので、このような表現になったと思われるが、言外に会社乗っ取り謀略への怒りで頭から湯気が出ているようなムードが見て取れる。アコーディア・鎌田隆介社長がかねてから公言していたように、買収防衛策として第三者割当増資を実施するのか?

 PGMとアコーディアの確執は今年すでに2回あり、今回は「第3ラウンド」だ。1月、PGMがアコーディアに経営統合を申し入れた時が第1ラウンドで、この時は相手から「時期尚早」とにべもなく断られている。第2ラウンドは6月のアコーディアの株主総会で、PGMは「株式委員会」を押し立てて取締役を送り込もうと委任状争奪戦(プロキシ・ファイト)を展開。総会は異例の「水入り」になって2日間にまたがり、取締役の選任は翌日に持ち越されたが、結局、株主提案はことごとく否決された。PGMによる経営支配の野望は果たせずに終わっている。

 この委任状争奪戦の際、「株主委員会」の有力株主オリンピアは、パチンコ・パチスロ機メーカーの平和の関連会社である。平和はPGMの発行済株式数の8割以上を所有するオーナーでもある。第3ラウンドのTOBでは、平和がPGMに最大425億円に及ぶ買い付け資金の一部を貸し付けて支援している。

 TOBをかけられている側のアコーディアは、今年1月に民事再生法の適用を申請して事実上倒産したゴルフ場大手、太平洋クラブの再建スポンサーに意欲を見せながら、10月に撤退を余儀なくされたばかり。代わりに再建スポンサーとして有力視されるのはパチンコホール最大手のマルハンで、奇しくもパチンコ業界の大手資本二つに行く手を遮られた格好だ。

●マジョリティを取れなくてもTOBは成立

 PGMによるアコーディア株TOBは、取得を目指す持株比率の上限は50.1%の過半数となっており、そのために必要な資金が425億円である。過半数さえあれば株主総会で普通決議を通すことができる。「マジョリティ」といって、一般的には言うことを聞かせて経営を支配でき、経営統合も完全子会社化も思いのままにできる水準だ。

 もう一つの重要な数字が持株比率33.3%で、それを超えていれば株主総会で「特別決議」を否決して、経営の手足をある程度縛ることができる。3分の2以上の賛成が必要な特別決議で決めるのは、合併や定款変更、組織変更などである。

BusinessJournal編集部

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