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業界構造が再編する家電小売業界

ビックカメラ、コジマ電気買収の背景にある「YKK戦争」

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コジマ買収にビックリ!(「足成」より)

 家電エコポイント制度は11年3月に終了、7月にはテレビの地上デジタル放送完全移行(東日本大震災の被災3県は12年3月)が終わり、家電市場は急速に冷え込んだ。2大特需の反動で業界再編が火を噴いた。

 家電量販店5位のビックカメラ(宮嶋宏幸社長)は5月11日、同6位のコジマ(寺崎悦男社長)を買収すると発表した。ビックは6月26日付でコジマが実施する第三者割当増資(141億円)を引き受け、発行済み株式の50.06%を取得し子会社にする。

「創業家の大株主からは反対もあったが、利益の最大化を考えた」。同日、経営統合についての会見に臨んだコジマの寺崎社長は、こう語った。コジマは親族経営企業である。創業者の長男である小島章利会長が、発行済み株式の12.25%を保有する筆頭株主で、創業家とファミリー企業が合わせて36.65%を持つ。創業家はビックへの身売りに反対したが、背に腹は代えられなかった。コジマの経営は、それほど危機的な状態にあった。

 コジマの前期(12年3月期)の連結売上高は、前年同期比17.6%減の3703億円、本業のもうけを示す営業利益は36億円にとどまり、同68.8%減と大きく落ち込んだ。今期(13年同期)の業績予想も連結売上高は同8.1%減の3405億円、当期純損益は33億円の赤字の見込みだ。エコポイント特需で、一時黒字に転換したが元の木阿弥で、赤字経営に逆戻りする。

 コジマは先代の故・小島勝平氏が1955年に創業。北関東を舞台に94年夏に勃発した「YKK戦争」は業界の語り草となっている。ヤマダ電機、コジマ、カトーデンキ(現・ケーズホールディングス)の激安価格での叩き合いは、3社の頭文字をとってYKK戦争と呼ばれた。客寄せのために、パソコン1台1円、テレビが1台5円といった、市場価格のメカニズムを無視した、非常識といっていい超激安価格で売られた。

 北関東の家電戦争を戦ったコジマは97年、家電売り上げ日本一の座に就いた。だが、02年に首位の座をライバルのヤマダ電機に奪われた。この年、小島章利氏が38歳で2代目社長に就任。だが、創業者がYKK戦争を戦ったころの覇気は完全に失われていた。ヤマダの破竹の快進撃を、指をくわえて眺めているしかなかったのだ。コジマがビックに吸収されるのは2代目の力不足、経営力のなさが原因といっていい。