大店法改正による大型店の解禁の流れに、NEBA加盟店は完全に乗り遅れた。しかし、新興勢力に敗れた原因は別のところにあった。経営者の世代交代のタイミングである。戦後の焼け跡から身を起こした創業者たちは、すでに他界するか引退していた。経営を引き継いだ2代目には、創業者世代のバイタリティーはなかった。経営は守りに回り、馬力に満ち溢れた創業者が率いる新興勢力に蹴散らされていった。NEBAは05年に解散に追い込まれた。
コジマの凋落で家電量販店の二極化が一段と鮮明になった。勝ち組は、YKK戦争を戦った首位のヤマダ電機(一宮忠男社長)と3位のケーズホールディングス(HD、遠藤裕之社長)、それに4位のヨドバシカメラ(藤沢昭和社長)である。
ヨドバシは非上場のため12年3月期の実績は不明だが、11年3月期の単体売上高は7005億円、経常利益は610億円。効率経営で知られる。売上高経常利益率は8.7%で同じ期のヤマダのそれ(6.4%)を大きく引き離している。ヨドバシのルーツは藤沢写真商会。藤沢氏の父、良作氏が新宿区の成子坂で現金問屋を開いたのが始まりだ。
ヨドバシは駅前立地の巨艦店で他社を寄せつけない圧倒的なパワーを持つ。地方を制覇し、首都圏に進出したヤマダが、都心での最終決戦の相手と想定しているのがヨドバシだ。ヤマダの”仮想敵国”は間違いなくヨドバシである。
そのヨドバシにとって最大のリスク要因は、創業者の藤沢氏が76歳と高齢なことだ。毎年、社長交代の観測が出るが、後継者不在で先送りされてきた。藤沢氏に万が一のことがあると、ヨドバシの経営にブレーキがかかるかもしれない。
北関東を営業基盤としているケーズHDの加藤修一会長は、「水戸の家康」の異名をとる。ポイントカードには見向きもせず、売り場で現金割引、キャッシュバック一本のユニークな経営で知られる。ケーズデンキの強みはPOS(販売時点情報管理)システム。これが、家電量販店の中でも一番進んでいる。POSを活用してローコスト経営を徹底させているのだ。
ビック、ベスト、コジマは弱者連合!?
とはいえ、急成長を続けてきたケーズHDでさえ、業績は踊り場に差しかかった。前期(12年3月期)の連結売上高は前年同期比5.8%減の7260億円、営業利益は同16.7%減の340億円。今期(13年3月期)の売り上げは横ばいの7300億円、営業利益は同8.5%減の312億円の見込みだ。